先日の「東洋医学講座 No.10 五臓の生理 その3」 と『養生訓』の「養生の四要」 にご質問をいただきました。ありがとうございます。
肝血(肝が貯蔵する血液)が不足したり、肝気(肝の陽気)が亢進したりすると、イライラして怒りっぽくなる。じゃぁ、肝鬱気滞は?というご質問。
肝は五行の木。木々がのびのびと枝を広げる様子からの連想つながりで、生き生きとのびやかに生長・昇発するものが木に入ります。いろいろなものが成長する春、太陽が昇ってくる東、吹き抜ける風などですね。
で、どうして肝が木に入ったかというと、疏泄機能を持っているから。疏泄とは「すみずみまで行きわたる」「円滑でよどみない」でしたね。のびのびした感じでしょ?
肝が健康ならば、肝気ものびのびと働いて、他臓腑の気の流れを助けて、からだ全体の気の流れも順調に運ぶし、精神的にものびのびする。
ところが、精神的にのびのびできないときは、つまりストレスが強かったりすると、気の流れが停滞して、まっさきに肝気に影響しちゃう。これが肝鬱気滞という状態。
肝鬱気滞になると、みぞおちあたりに何かがつまったような感じになったり、気分が晴れなかったり、顔がほてったり、目が疲れやすくて赤くなったり、こむらがえりが起きやすかったり…。それもこれも、疏泄機能が失調するから起こる。
長くその状態が続くと、肝血のコントロールもうまくいかなくなって、頭痛やめまい、月経不順なんかも起きてきます。コントロールが効かないだけのうちは、血も多く流れたり、ちょっと詰まって少なくなったり。スムージーをストローで飲むときに、均一には口に入ってこなくて、あるときどっと入ってきたりするでしょう?あんな感じ。だから、頭痛もガンガン痛いかと思えば、ふっと軽くなったりする。
そんなことがさらに長く続くと、そのうち貯蔵することもできなくなってきて、肝血の不足という事態に陥ったりもするのです。肝血不足の原因はほかにもありますけどね。
気が滞ってなければ、疏泄機能のおよぶべき範囲も全部カバーできるけど、気滞があると配分がうまくいかなくて、余るところとか、足りないところも出てきちゃうのね。たとえば、肝気が精神的な部分に対して強くなればイライラするし、弱くなれば抑うつ状態になる。
肝気の亢進という状態は、単純に肝気全体が強くなると思ってもらってかまわないんだけど、精神的なものに対しては煽ってしまうので、イライラして怒りっぽくなります。
ということで、結論。肝鬱気滞でも、肝血不足でも、肝気亢進でも、怒りっぽくなりやすい。
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