マタアシタ | サプリメン

サプリメン

好きな事を語ります

Q10
今期のドラマで唯一、一話も欠かさず見たドラマです。
当初は佐藤健もあっちゃんも好きだから見てみよう~なんて、軽い気持ちで見始めたんですが、見事にハマりまして。
土9+ヒロインがロボットって事で、軽いタッチのドタバタ学園コメディーなんて話かと思ってたら良い意味で裏切られました。
優しくて、深くて、切なくて、暖かい。
登場人物に悪い人が一人もいなくて、イヤな奴っぽい人もちゃんとそれなりの理由があって結果的には良い人間で。
全体的に淡々としてるけど、ものすごく愛と優しさに満ちたドラマ。
毎週見た後は清々しく…だけどちょっぴり切なくて、鼻の頭がツンとするような感じがしてました。

なんだか、子供の頃の夕方の感じっつーのかな。
何ともいえないノスタルジックな気持ちになるんですな。


そんなQ10が最終回を迎えました。
よかったです。ほんと。
見終わった後、涙と鼻水でぐしゃぐしゃでした。
まあちょっと急いでる感はありました。あと10分くらい時間があればなぁなんて。
特に平太が本当のリセットボタンを押すまでの経過は、もう少し丁寧さが欲しいところでしたが、ただその「淡泊さ」も、このドラマの特徴であり魅力でもありますしね。

Q10がいなくなる→Q10似の女の子が現れる→後に平太の奥さんになる→Q10はその奥さんに似せて作られたロボット
てな流れは、予想通りでしたが、わかっていた展開でもむちゃくちゃ泣けました。

一番最初に涙腺が崩壊したのは、「一年くらいたてばQ10を忘れてしまう」という事がわかった時。
なんというか…きっと人間は実体がなくなる事よりも、「忘れてしまう」事が一番怖いのかもしれないと思いました。
実体が無くても思い出したり心の中にあることで、いくらか救いになるというか。
それこそ目に見えなくても、頭で想像で大事な人と過ごすことが出来る。
忘れてしまう事は、何もないのと同じで…。

平太が一年後、自分とQ10に似た子が笑い合っている姿を見るシーンがあったけど、あれを見た平太はきっと一年後の自分に憤りとか恐怖を感じたんじゃないかなぁと思います。
「お前なにQ10の事忘れてんだよ!」って。

見てるこっちとしてもやっぱり「Q10」が好きだからQ10と一緒にいて欲しいという気持ちもありますし。
平太の奥さんになる子は見た目はQ10でも、決してQ10ではなくて、性格もしゃべり方も何もかも違うからやっぱりどこか喜べないし寂しいんだけど、ただそれでも救われたというか良かったと思えたのは、彼女が「Q10」の存在を信じ続けていた唯一の人だったからだと思います。
平太が忘れても、彼女だけはQ10が実在したと信じてた。
そして70年後にまた、平太自身もQ10がいた事を確信した。
思い出したわけではないけれど、それでもその事実があったからこそ平太は前に進むことができたんじゃないかと思います。

考えてみれば登場人物の全員、問題が解決した人はいないんですよね。
だけど全員が問題を抱えながらも、すべての人に小さな希望が感じられる。
藤丘君は貧乏なまま。
だけどもしかしたら、クリスマスを家族で過ごせたかもしれない。
影山君と河合さんも二人が再びつき合える約束はしていない。
だけどもしかしたら、うまく行くかもしれない。
久保君も入院したまま。
だけどもしかしたら、元気になって校門までの坂を上れるかもしれない。
全員が、それこそ山本民子が手にしていたサンタのような小さな頼りない光だけど、確かな希望がある。

「人間は目にしたものしか信じない」という富士野月子の言葉。
それって昨今のドラマへのアンチテーゼもあるのかもと、ちょっと裏読みしてしまいました。
なんでも描ききってしまう事…答えを出しすぎてしまうことは、見る側の想像の幅を狭めてしまうんじゃないかと思うんです。
すべてを描かない事によって、見る側にその先を想像をさせ、想像させる事によって登場人物が見た人間の頭の中で生き続けるのでは無いかと。
きっとQ10を作ったのは中尾君なんだなって、そう想像出来ることが楽しいじゃないですか。
最後の「このドラマはフィクションですが~」も、そこにつながってるんじゃないかと思います。
まあ単純にうちがそういうドラマが好きだっていう、完全に好みになってきますけど笑


「マタアシタ」というQ10の最後の言葉も良かったなぁ。
結果その明日に平太は未来の奥さんに会えるんですけど、最後まで律儀に約束を守り通すQ10健気さにまた泣けてきました。

そして最初の出会いでQ10が奏でた音も、未来の奥さんがピアニカで奏でた音も、「ラ」。
こういう細かい部分のこだわりも、ほんまに「プロの脚本家」の技だな~と。
木皿さんの作品は初めて見ましたが、すっかりファンになりました。
ただ起承転結だけではなく、各話にテーマがあり、なおかつ伏線や小ネタをしいて、最後に「つながる」っていうのがね~、藤本有紀さんしかり、うちはやっぱりそういう本が書ける人が好きですわ。
まだまだ書き足りないことはありますが、今回はこの辺で。

あ、最後に
本当にドラマ史に残るくらい超魅力的なQ10を演じたあっちゃん。
あっちゃんじゃなかったら、こんなに可愛くてヘンテコなキャラクターにはならなかったんじゃないかなと。
まさにハマり役だったと思います。
そして佐藤君、むちゃくちゃ良かったな~。
平太が佐藤君だったからこそ感動できたシーンが山ほどありましたし。
池松君、細田君、田中さん、薬師丸さん、西田尚美さん、光石研さんも、白石かよ子さん…出演者全員がほんまにすばらしかったし大好きでした。
またエンディングの高橋優さんの曲が最高で~って、キリ無いわ笑

終わってしまってむちゃくちゃ寂しいけど…
「信じる限り登場人物たちは、誰が何と言おうとどこかで生き続けます」って事で。

あ、あと映像がすごくきれいで…←エンドレスw