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私は普通の西洋医学の医師ですが、十数年前に東洋医学と出会い、今は自分や家族のちょっとした不調は東洋医学的に解決することがあります。
今回は私が東洋医学と出会ったきっかけについて書きたいと思います。
以前のブログで、不妊治療をして子供を授かったことを書きました
不妊治療を始めたら、すぐに妊娠できると思っていましたが、その考えは甘かったと思い知ることになります。
不妊治療を繰り返しても、なかなか妊娠に至らない中、不妊治療中の人向けの雑誌の中に「鍼灸で妊娠率が上がる」という記事を見つけました。
私が医学部生だった頃には、大学では西洋医学しか習わなかったし、東洋医学ってなんか怪しい本当に効果あるの
っていうイメージがありました。
でも同時に、このまま西洋医学による不妊治療だけを受けていても、妊娠するのは難しいのではという思いもありました。
藁をも掴む気持ちで調べてみると、記事に載っていた鍼灸院で修行された鍼灸師さんが地元に帰ってきて、私が住んでいる市内で開業されているではないですか。これは行ってみるしかない(実はこの鍼灸師さん、中学校の同級生だと判明。世間は狭いですね。)
早速、予約をとって受診しました。初診の時は時間をかけて診察がありました。脈を診られたり、舌を診られたり、全身(特にお腹)を触診されたり…西洋医学的な診察とは全然違います。
その結果、子宮内膜症などの婦人科疾患がある以外は健康だと思っていたのに、たくさんダメ出しされました
・すごく疲れている。(それまでは体力はある方だと思っていて、疲れている自覚はありませんでした。)
・体が冷えている。(これは1年中手足が冷たいので自覚あり。)
・お腹も冷えていて、硬い。(自分のお腹をじっくり触ったことがなかったので新発見)
・婦人科疾患は瘀血(おけつ:血がドロドロした状態)のせい。(以前受けた東洋医学のセミナーでも、生理痛は瘀血のせいだと言っていました。)
・血の巡りが悪い。
・肩こりがひどい。(それまで自分では肩こりがあると思っていませんでした。肩が凝っている時に痛いツボを押されたら、飛び上がるほどの激痛でした)
「すごく疲れていて妊娠するためのエネルギーが残っておらず、お腹が冷えているので妊娠しにくいです。鍼灸を続けると、冷えが取れて、お腹も柔らかくなってきます。今まで治療に来ている人達も、温かくて柔らかいお腹になった頃に妊娠してますよ。」と言われました。
これは西洋医学の不妊治療クリニックにはない視点で、すごく新鮮でした。確かに、母体に余裕がないと妊娠しないというのには、非常に納得。そして、今まで自分の体に無頓着すぎて酷使していたんだなと反省
まだ半信半疑でしたが、鍼灸にかけてみることにして、週2日通いました。鍼は髪の毛ぐらいの太さのものを使うので、痛みは全くなく、刺した部分も分からないし、そこから出血することもありませんでした。お灸はかなり熱くて、施術中もぞもぞしてしまいました
2ヶ月くらい通った後、びっくりする変化が現れました。以前、東洋医学のセミナーに行った後、生理前から甘いものを食べないようにすると生理痛が軽減されて、鎮痛剤の量が5、6錠から2錠に減ったという話を書きました。
その話はこちら
それが、なんと、鍼灸に通い始めて2回目の生理から、生理痛は少しはあるものの、鎮痛剤が要らなくなったんです。小学生の時からずっと悩まされていた生理痛が、鎮痛剤なしで大丈夫になるなんて驚きでした
鍼灸の先生曰く、子宮にも力がなくて、月経血を押し出すために強く収縮していたから痛みが強かったのが、鍼灸をすることで、子宮に月経血を楽に押し出すだけの力がついてきたので、生理痛が軽くなったのだとのこと。
鍼灸、すご〜〜いなんなの
その他の変化としては、鍼灸に通い始める数年前から、うまく説明出来ませんが、生理が終わった直後はお腹から力が抜けて、全身のパワーが足りない感じになって、一月かけて元に戻ってまた生理が始まるというのを繰り返していましたが、鍼灸を続けるうちにそういう症状がなくなりました。また夏バテしなくなりました。
体の冷えを指摘されたので、体が冷えるような食べ物は極力食べないようにしました。夏でも冷たいアイスや飲み物は摂らないようにし、また逆に体を温める食べ物を意識して摂るようにして、家でも冷え改善を図りました。
また血流を改善するために運動もしました。
鍼灸に通い始めてしばらくしてから、鍼灸の先生がぼそっと
「やっと邪気が取れたな。」
と呟いたことがありました。邪気って何私、何かに取り憑かれてましたか
東洋医学ってスピリチュアル
ってびっくりしたことがありましたが、調べてみると東洋医学には邪気という考え方があるようでした。東洋医学的にいう邪気とは病気のもとだそうです。
まずは鍼灸で私の体を改善してからということで、西洋医学の不妊治療の方はそれまでよりスピードを落としていましたが、だんだん卵子の状態が良くなっていき、着床するようになり、とうとう妊娠することができました。そして2児をもうけることが出来ました。
友人の産婦人科医に鍼灸で生理痛が良くなったことを話しても、疑いの眼差しで見られました私も最初はそうだったように、医師の中には漢方薬は使うけど、鍼灸などの東洋医学は怪しいと思っている人もまだまだいると思いますが、私は自分の体験から東洋医学は効果があると思っています。
西洋医学は各種検査での診断や、急性期の病気や手術が必要な病気などの治療を得意としていますが、東洋医学は病院でははっきり病名がつかないような不調や慢性的に続く病気が得意だと思います。
いいとこ取りで上手に使い分けていけたらいいなと思います
つづく…