北海道の田舎で育った外村直樹は、高校でピアノの
調律師・板鳥宗一郎と出会う。
彼の調律したピアノの音に生まれ故郷と同じ“森の匂い”を
感じた外村は、調律の仕事に魅せられ、その世界で生きていこうと
決意。
専門学校に通ったのち、板鳥のいる楽器店で調律師として
働き始める。
いちばん年齢が近く兄のような存在である先輩・柳に付きながら、
調律師としての道を歩み始めた外村は、ある日、高校生姉妹、
和音と由に出会う。
柳の調律したピアノを二人が弾くと、和音の音は端正で艶やかな
音を奏で、由仁は明るく弾むような音色になるのだった。
ときに迷い、悩みながらも、ピアノに関わる多くの人に支えられ、
外村は調律師として人として逞しく成長していく……。