国立西洋美術館での展覧会、憧憬の地·ブルターニュ。
19世紀後半から20世紀前半にかけ、日本からパリに留学したり、勉強にやって来た画家は多かった。
その多くの作品が、展覧会の後半にまとめて展示されている。
その最後の展示の部屋に、藤田嗣治と岡鹿之助の作品は、あったのでした。
結果、私はとても不思議な満たされた気分で、藤田嗣治の「十字架の見える風景」を見ていたのです。
本当に小さなキャンバスに描かれていたのは、両側が建物に挟まれた道と、その道の終わりに現れた十字架。
と言うか、十字架によって、道が終わっている様にも見える。
その向こうは、白い雲に覆われてはいるが、青い空。
とにかく、理性では説明できない理由によって、私は、何だか気持ちが穏やかになって、にこにこしていた。
そして、その横の壁には、岡鹿之助の風景画が、3点飾られていた。
こちらも、静か、そしてどこか御伽の国のような、現実を離れた趣。
この企画展、フランスの地に眠る藤田嗣治の絵を、展示最後の部屋の中心に置いて、敬意を表しているみたいでした。
私の知る限りではありますが、日本では、ある時期冷遇されていた藤田嗣治の生きた人生を思うと、この部屋の展示は、何だか心が温まる気がしました。
さて、今回の美術館のはしご。
マティス展の最後は、南仏ヴァンスにある、マティスの最高傑作とも言われる、ロザリオ礼拝堂の video による展示。
これは、映像で見ても、本当に美しいのだから、実際に行って見てみたら、どうなるんだろう…………と、思って見ていました。
そして次のこちらの展覧会、憧憬の地·ブルターニュ。
最後の展示の部屋の中央を飾るのは、藤田嗣治の「十字架の見える風景」。
そして藤田嗣治にも、ランスに手掛けたフジタ礼拝堂があります。
かなり前ですが、藤田嗣治の大掛かりな展覧会があった時、礼拝堂内部が再現された事があり、見に行きましたが、感動的でした。
両方の展覧会、奇しくも、マティスに藤田嗣治、晩年の大きな仕事が礼拝堂だったと言うつながりをもっていたのも、興味深い事でした。
まあ、私が勝手に思っているだけなのかも知れませんが、このブルターニュ展の締めくくり、マティス展の最後の展示との関連性が感じられるあたり、何ともちょっと、凝っているなと、思いました。
なかなかやるじゃん💦………国立西洋美術館。
今回は、本当に楽しめた展覧会のはしごでした。