まるで恋をしなければ
生きていけないようにして
人は生まれ
やがて終える
ドストエフスキーは
人は傷つけ合う為に生まれた
と遺した
一番優しいカタチを
人は求めていながら
果たして其処へ
辿り着けるのか
私はどこまでも
ただ歩いている
ねむの木が枝をばさりと
落とすように
置き去りにされて
実を結ばない
心の片隅に置いた
小さな欠片たちは
胸の奥で燻り
やがて朽ちて消えて
掠れていくもの
儚い恋慕の余韻と
残されたものは
心に
ひとつひとつの
ただ小さな点となり
取り出すのは
困難のように在った
煌めきもときめきも
過ぎたものの
ただ点となった
まだ歩かなくてはならないのか
傷つけ合う為に生まれてきたのではないと
それを覆すように
ねむの木が落としたものは
遠きあの日
初めて聴いた
母の嗚咽を呼び起こした
我が娘の遠き旅立ちは
母の悲しみに満ちて
あなたがそうして
あなたの母を残したように
人は繰り返しそうして
生きていくのだろうか
優しいカタチをした
恋を求めて
求めなければ
傷つきやしないのに
人という生き物の
生きている実感は
愛のカタチを
しているのかも知れない
24分詩ですね。
若干伸びました。
涙出ました。
バジュラールのいうところの
恍惚とした中の涙。(笑)