理事長は ”区分所有法の管理者”? | はるぶーのマンションヲタクな日々

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マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、
管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。(多いはず)
なのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。

 理事長の責任と権限の話の続き。
 
 多くのマンションに初期設定されている管理規約の元になっている標準管理規約ってのを国交省が出してます。
現行のはここから → http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha04/07/070123_3/03-1.pdf
 別に逐一法的強制力があるものではないので、違っていたから変更しないとダメというものではないのですが、少なくとも築浅のマンションの多くはこれをもとに販売時に初期設定される規約(原始規約)を作成するので、その後規約を変更してなければ、これに準拠してる可能性は極めて高い。
 
 さて見てみると
 
(理事長)
第38条 理事長は、管理組合を代表し、その業務を統括するほか、次の各号に掲げる業務を遂行する。
一規約、使用細則等又は総会若しくは理事会の決議により、理事長の職
務として定められた事項
二理事会の承認を得て、職員を採用し、又は解雇すること。
2 理事長は、区分所有法に定める管理者とする。
 
 
 ふむふむ 理事長≡”区分所有法でいうところの管理者” ね。
 理事長を受けるなら区分所有法を見てみるしかありません。
(見ないで自分にどんな責任が降りかかっているかを知らずに済むハッピーな人生もそれはそれであり)
 
 区分所有法はこちら
   http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S37/S37HO069.html
はるぶーが割と参考にしている逐条解説はこちらです
   http://www20.tok2.com/home/tk4982/kubun-frame.htm
 
 見てみると、管理者は定めても定めなくてもよいが、定めた場合には
 
(委任の規定の準用)
第二十八条   この法律及び規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。
 
 とあります。 理事長という一個人(自然人)≡管理者 ですから、理事長の権利義務は委任契約にともなって発生すると。
 
 委任契約には、「委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。」という”善管注意義務”があります。
 
 例えばうちのマンションでいうと、エントランスの上には外壁タイルをある22階建ての高層棟があって、もしもタイルが剥がれおちてくると人の頭に刺さるかもしれません。管理会社から、タイルが沢山浮いていて危ないかもと注意喚起を既に受けていて、なかなか対処もできなくて結果として放置され実際にその事故が起こったとしたらどうなるでしょう? (実際には、うちのマンションのエントランス上のタイルは地震の後に打診して浮きはないことを確認しています、当然お金はかかったけどまぁぶらさがって抜き取りくらいで確認はしておきたかった)
 
 字面通りに解釈すると、理事長≡管理者で、”善管注意義務”を怠っていたわけだから義務違反で、理事長個人には責任があるということになります。
ほかの理事会の理事とかの責任はどうなるわけ? とか疑問です。
 
 区分所有法では、法人化されていないマンションについては、理事会の規定はでてきません。
 監事などを設置して、理事会を組織する義務があり、その過半数でものごとを決するべきなのは管理組合”法人”であって、法人化されていない管理組合にはそのような規定は区分所有法上には存在しません。
(逆に、区分所有法上には管理組合法人に”理事長”の規定は存在しません。代表権を登記すべき代表理事の規定があるだけです)
 
 普通の法人化されてないマンションは管理組合法人における理事会の規定だけはほぼそのままにぱくってきて、理事というものを設けてその多数決で決定を下すようにして権限を制限しながら、なぜか”管理者”には”理事長という個人”をあてているようにしか形式的には読みようがない。 これが、私が標準管理規約の理事長規定は、”木に竹を接いだようだ”と思う理由です。
 
 多数決で1票だけなら、責任も議決権を持つ理事全員で分かちあうべきだし、理事長≡管理者なのなら、別に理事会なんて面倒なものを設置しないで独裁でも構わんでしょう。
 実際に、韓国など、第三者管理が進んでいる国では、住民集会はあっても、理事会なんてものは存在しないのが普通という国は実際にあります。
(それでも管理会社の利益率は日本の半分だから理事会がなければ管理会社にぼられるというもんでもない)
 
 実際に、理事会に恨み?がある個人とかが理事会相手に訴訟でも起こそうというときに、”理事長”あるいは”全理事長”の善管注意義務違反であるとして、マンションに与えた損害を賠償しなさいという訴訟の起こし方は結構訴訟戦術としては有効で、多くの場合一人の個人相手じゃ変でしょ?で門前払いにはなりません。
身近な例、RJC48の中の例、まぁいろいろで多数実際に見てきていて、このパターンでの訴訟提起は割と珍しくはないことは知ってます。
 
 はるぶー個人としては、この管理規約の”理事長≡区分所有法の管理者”の規定は撤廃するまでは、二度と理事長には戻らないぞと決心したのでした。
 
 実はちょきっと削除しようとすると1行だけなんですが、案外容易ではありません。
じゃー誰が責任を受け止めるのって部分が宙ぶらりんになってしまうんですよね。
 
 まだ、続く
 
!! 重要 !!
本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、
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