その1は、期間短縮型の繰り上げ返済を、とくに変動金利の人が住宅ローン減税が使える10年以内にするのは割に合わないのでは?という話。 その1をまだ読んでいない方は先に読んでくださいね。
ローン減税を考えなくても、今から35年の間どこでも自由に使える(返済にも使える)100万円と、34~35年目まで全く恩恵にあずかることはできない128万円の価値はどちらが高いかは、その人ごとに違っている筈でこれは自明ではない。
35年後なんて生きてないよー死ねばちゃらにできるしめしめと思うか(これは私)、いや35年後に借金が残っていて、年金で返済するなんて未来は想像したくもないと思うか。そのどちらか個々人が自分の価値観に合わせて考えればいいことで、利息が1円でも少ない方が ”常に正しい” とアドバイスするのは如何なものかと。
これが優劣なしになる条件は、手元の100万円を32年の間0.8%以上で運用できること。これができるな...って人にとっては、手元においておいたほうが得になります。
同じことが、繰り上げをする場合に、「期間短縮型」を選ぶか「返済額低減型」を選ぶかでも言えます。もとのFPさんの記事では100万円を繰り上げるのに、当たり前のように「期間短縮型」が選ばれています。
よくSUUMOなんかの記事でも2つの方式の比較がでていて、「期間短縮型」を選んだほうが利息の削減効果が大きいからこっちにしなさいというのが、世の中のFPさんのいう”定説”になってます。
その1でとりあげた事例 (2000万 35年 0.8% / 3年目に100万円繰り上げ画)で、「期間短縮型」と「返済額低減型」の場合を”みかローン”で比較してみると以下のリンク先のようになります。
⇒ http://loan.mikage.to/loancalc/prepayment/plan/35_0_2000_0_0.8_3_0_100
みかローンの作成者のみかげさんに感謝して結果を拝借して貼っておくとこんな感じ:
みて分かる通り、”一回だけ繰り上げをしてその後はなにもしない”場合には、期間短縮型のほうが2倍ほど利息の削減効果は大きいことになります。
この”損得比率”は利息が非常に小さい場合 【 (1+r)^n ~ 1+nr と近似できる複利の効果を無視できる場合 】にちょうど2倍になり、一方この場合で利息を 2%/3%/4% と仮定すると、2.35倍/2.68倍/3.01倍とどんどん大きくなっていきます。
さてどんなに低利でも、返済額低減型は2倍以上削減可能な利息を損する計算ですが、ローン返済額を直ちに低減できる効果はあって、その効果は34-35年後ではなく ”今” 受け取ることができます。
その1の時と同じようにローン金利負担だと思うのではなく、ひっくり返して貯金だと思っても損得は同じです。
表に3列あるのは同じ100万円を
(1) 予備資金として保持し、必要に応じて自分で運用する
(2) 3年後に預けると、翌月からずっと毎月3000円32年間年金として受けとれる
(3) 3年後に預けると、中途解約はできないが34年目に128万円一括受け取れる
の3つのどれを選びますか? という選択になります。
案外 (2)を選ぶ人も多くて、必ず(3)にしなさいとというのはFPさん言い過ぎでは??とか思うわけです。
別に金融機関が意地悪して「返済額低減型」での金利負担を高くしているわけではなくて、先にメリットを受け取っているだけで、本来優劣のある話ではない。すくなくとも私には利息が低いほどに、どうも35年その金利で貯金しておきなさいと等価な選択肢は個人的には不利に思えます。
SUUMOなど雑誌でよく見る例は1回だけ繰り上げて後はなにもしないという場合です。この場合は計算の数字の上では確かに「期間短縮型」の選択が有利ですが、あんまり現実的ではない。
一方今は、100万円単位で、繰り上げにも手数料が必要といった繰り上げ方しかできないローンは少なくて、好きな金額で、何回やっても手数料不要という返済方式がごく普通になってきています。 今回のテーマであれば、通常の変動金利での銀行借り入れを想定しているわけですから、なにも100万円溜まるまで繰り上げを待つ必要もない。
最近のアットホームによる「住宅ローン完済者」への調査では、住宅ローンの平均額は2500万/ローンの設定期間は25年で、11年ちょっと繰り上げて14年弱で完済したというのが平均になってます。
発表データはこちら→ http://athome-inc.jp/pdf/questionnaire/14101501.pdf
相当まめに繰り上げるのが平均ということですから、1回だけ繰り上げ返済をした場合ではなく、毎年/毎月といった高い頻度で繰り上げ返済を実行する現実的な場合に、2つの優劣がどうなるかを比較してみないといけません。
実はこの場合には、「返済額低減型」と「期間短縮型」の間での利息額の優劣もなくなるという話はその3で。 まだ続きます。
#のらえもんさんのブログのほうでも住宅ローン繰り上げ編になってて書きにくいなぁ..同じネタを扱ったら分かり易さでは敵わない。 のらえもんブログでは「返済額低減型」を推奨していますがそれにはちゃんと理由があります。 彼に書かれる前に書けるかな・・・
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