バロックラッパをさらってると、もっと言えばナチュラルトランペットをさらうと、その時代の音楽をバロックやピッコロで吹く事は、孔が開く、短くなりピストンが付くという順番にずっと楽になる。
そうは言っても楽器やマウスピースが変わったりすると、ちょっとした音程やバランスが変わるのでそれを感覚的に理解しないといけなくて久しぶりにさらってみる。
11月の終わりに演るバッハのロ短調ミサを題材にして。先ずマウスピース感じが違うので、凄く心地良い所と少し今までの感覚から移行しないとならない部分が出て来てる。基本的にサウンドも音程もずっと良い。しかし、耳やコントロールは27年使った物に慣れてるのでそこを感覚と頭で知覚しないと、こう言う高い音域でのタフな演目は本番で痛い目を見る。
そして、いつもそう言う本番の前はバネの力を貯めて置く為にもう殆どさらわないし、その前の辺りは12月のメサイア(ヘンデル)、クリスマスオラトリオ、マニフィカトのD&Es(バッハ)、グローリア(ヴィヴァルディ)、協奏曲(トレッリ)、その他 スライドトランペット等 国外での言葉の壁も有るコンサートでのバロックの準備もしなくてはならないので、今のうちにさらって後は寝かせながら頭の中で準備。
その練習の中でずっと探していたある答えに行き着いた気がする。
古い時代のアーテキュレーションなのだが、速くなると舌が極端に短い(劣性遺伝で舌先は1cm有るか無いか)自分にはどうしても解決しない部分が有った。実は答えはインマー氏に言葉としては貰って居たのだけど、実際にどう聴こえるか?が問題で、そこを先日のバロックラッパの会で何人かのプロ奏者に聴いてもらって感想を教えてもらい、少しディスカッションした事がこの数日の練習の中での発見となった。
大雑把に言うと、"tara tara" (tiri tiri), " taka taka", "taha taha" は同じ種類の発音で後の音の発音の場所が少しづつ違うという事。そして、そこに気が付くとそれらはリンクさせる事が出来るし、それぞれのニュアンスを違う方法でも出せる=喋れるニュアンスが圧倒的に増える。
外から聴いた感想をきっかけに、自分の中のほんのちょっとした思い込みから解放される事で目の前に有った答えに気が付いた感じ。
自分の考えの常識の枠の中から一旦は出る事が、新しい事を理解する為に大切な事だと判って居ても時に囚われてしまう。たった10分の時間だったが、この一年考えて来た事の答えへのきっかけになった。今から感覚、身体に落とせば12月に間に合い、試しながら実践の中で修正が出来る。
haの発音は口笛で使ってる事だからそこを動かすトレーニングする必要は無くて、ただラッパを吹く時にそのスキルを迷い無く動かせる様にするだけ。
これはもちろんピッコロにも使えるし、他の時代の音楽にも使える。より譜面から自由になれる。
ところで、このマウスピースは物凄く面白い。今まで音とコントロールの面から殆ど使わなかった楽器のオプションのセッティングも心地良く使える様にマウスピースがカバーしてくれる。
どれだけ使いこなせるかは自分次第。