最初は音程や吹奏感の違うパーツを買い足してマウスピースも思い切って変えるつもりは無かったのだが、購入し易い様に工房側の好意を得て、実際に何十通りの組み合わせから二本の楽器を組み立てて行くうちに今迄使って来たタイプとは全く異なる物に仕上がった。
前の組み合わせはCDなどのクレジットから大体の当たりを付けて選ばずに個人輸入した物。今回は現地の知り合いの助けを借りながら、延べ10時間吹いて各パーツの個性や優劣を感じ取り易い組みあげた物~モダンの出来上がった楽器を選ぶのと比べて何倍、何十倍の神経を消耗し、なんとか二日間で知り合いの物を含めて二本の楽器を組み上げた。
大きく違うのは、、全部(笑)
しかし先ずベル。
当然に音色も音程なども違う。
自分には大きなベルの方が合ってるとこの何ヶ月かで気がつかされた。先ず、モダンとの行き来が楽。響きの中で高音時倍音の豊かさが自分には魅力。ただし、バロックマウスピースを使わないと程よい響きにはならない。
音色は上にも書いた通り、マウスピースをフラットなバロックのリムとそこにエッヂの有るカップにした事も大きい。サウンドを意識的にコントロール~息づかいなどの技術を必要以上にコントロール~しなくてもそのサウンドが得られるからだと思う。全ては出てくる音の為で有り、そこに違和感を感じる事で必要以上に力を消耗する。
そして、マウスパイプもその先のクルークと呼ばれる調性を換える管も今迄とはタイプの違う物を選択して音程感もかなり変わった。
意外に大きかったのがマウスパイプとクルークの間のパーツを手打ち製法の物にした事。これで音の質感は劇的に変わる。
普通のラッパだとペダルトーンに鳴る第二倍音が響き易い。これはモダンに物凄く生きる。息を増やして吹き抜く様なメダルは実は本当に効率が良いとは言えないのでは?と云う疑問を大きな実感とさせてくれた。まだ、未完成だけどここが息の強さで無くて、ツボを捉えて効率良く空気を共鳴させて響く感覚は音そのものを豊かに響かせる物に繋がると思う。
ハイトーンもシラブルなどの息のスピードに頼る方法だとこの楽器のサウンドの意味が薄れてしまう。歌う事に因る喉のポジションやそれによって自然に起こる舌のポジションの変化~ただし前から見て舌の中央は常に下がって居て「e,i」では無い、アンブシュアの変化、そして何より体の中を含めて響きがどう身体から外の空気に共鳴して行くかが大切な感覚でも有り技術で有ることに気がつかされる。
ハイトーンもシラブルなどの息のスピードに頼る方法だとこの楽器のサウンドの意味が薄れてしまう。歌う事に因る喉のポジションやそれによって自然に起こる舌のポジションの変化~ただし前から見て舌の中央は常に下がって居て「e,i」では無い、アンブシュアの変化、そして何より体の中を含めて響きがどう身体から外の空気に共鳴して行くかが大切な感覚でも有り技術で有ることに気がつかされる。
鐘の音の様な自然に空間に消えて行く音。
そうで無いと楽器にはそっぽを向かれる。
もちろん、孔の開いたバロックトランペットではモダンマウスピースで吹き倒してしまうことも出来るが、バロックの物でそれをやると本来の響きからは遠くなってしまう。孔無しナチュラルではそんなコントロールは不可能。ただの下手なラッパになる。
その感覚をモダンに持って来ると音のセンターに迷い無く音が入る。今の楽器の方が効率が良い。ただ、モダンに必要な指や感の長さが常に変化する事、厚いベルを鳴らす事などの技術は必要だと思う。
もうひとつ、極端に大きなの違うマウスピースを使っていない限り(大きさの変化に慣れてない限り)、常に行き来をして居る人で有れば両者は同じ技術の範疇に有りどちらかが上手くいかない時は実は何処かに不具合が有ると云う事だと思う。モダン楽器と古楽器に優劣は無い。本当にモダンの上手な方が古楽器に真剣に取り組めば同じレベルには行ける筈だし、逆も真。もちろん、それぞれのアンサンブルする楽器と会話をする為にアジャストする技術はさらに必要になるし、それは感覚的な部分でも有る。
楽器が教えてくれることも多い。
その楽器をコントロールする為の手がかりを様々なメソードからヒントを得ることも多い。歌の感覚など管楽器にはとても有用だと思う。様々な物に目や耳を働かせてその中から選び自らの身体の上でその人のメソードを確立出来れば良いのだと思う。
その為にはやはり感じ取る感覚と聴くことは外せ無い。
さて、バロックトランペットはベルセクションを残して4種類の音色、吹きごこちを状況によって使い分ける予定。これはこれからも選択肢が増やせる様に考えても居る。
其の後はモダンのツールを。
すでに意中の物は有るし本当は今のツールの痛み具合からも直ぐにでもかえたいし、モダンのレベルアップも取りかかりたいのだが。