どんな虚しい夢にせよ、僕の夢も又、いつだって夜にひらいて来た。 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 今宵の冴え返る月を仰いで、しんみり思った、僕のツキは一体どっちに転がるのだろう……と。
 まぁ、やるだけの事はやるけれど、もしも悪い方に転がったとて、考えようによっては、それが今まで通りの僕の人生じゃねーか……って思えば、少し気も楽になる。
 大丈夫。ツキがどっちに転がろうと、いつだって僕の夢は夜ひらいて来たのだから……そう、例えばこんな風にね、
三上寛『夢は夜ひらく』。

https://youtu.be/4wTQlb5KUJU

 
 時代設定が違うだけで、僕の人生もこの歌と完全にイコールで結ばれる。実際の話、僕も又、玉砕覚悟で賭けられる輝く夢など一つも持てず、手応えのない燻った夢はいつだって、粒子の荒いヌード写真を汚して虚しく消える。だけど懲りずに新たに浮かぶ夢も又、手応えなく燻った夢ばかり。ずっとこんな調子。そうして、こんな繰り返しの中で徒に老いて来ただけ。そんな世の敗残者の、うだつの上がらぬおっさんが、今さら昼の世界のツキがどう転ぼうと、どっちにしても大差はない。取り敢えず明日の朝しっかり目覚めて、ちゃんと生きる……それのみを今は考えていればいい。……
 それにしても今宵は本当に冷えるな。お湯割りの焼酎もう一杯だけ飲んで、明日に備えてもう寝よう。震えて眠る寝床の中でも、僕の夢はひらくだろう。そうして、儚く消えるが定めの夜の夢が、昼間の世界を堪える力を与えてもくれる。