前回アップした詩は二十代後半の頃に利用していた大学ノートからの抜粋だけれど、正直この詩を紡いだ時の事はもう覚えていない。職が長続きせず転々としていた時期だったので、その辺の鬱屈と逃避願望が反映されているのは、いま読み返してもわかる。ただ細部の処々で、当時どういう心情を託したかったのか、いま読み返すと自分でもよくわからない面も多い。既にそれだけの歳月が流れたのだ。
只この詩を久しぶりに読み返して、我ながら苦笑まじりに思ったのは、僕は結局ここに還って来てしまうのだな……という感慨であった。
そう、「鳥に憧れながら地べた這う」とか、「人間の息吹きから遠く離れて」とか、この辺のフレーズはこの詩に限らず、今までに書き散らしたあれこれに頻繁に見かけるフレーズだ。「袋小路」とか「我が影法師」とか、その辺のフレーズと合わせて、本当によく使っている事に改めて気づく。安易に手垢にまみれたフレーズを使い回すべきではないのだろうが、何度使っても厭きず懲りずに出て来てしまうフレーズ……案外それが自分にとって一番核となっている心象風景に繋がっているのかも知れない。それが、「鳥に憧れながら地べた這う」とか、「人間の息吹きから遠く離れて」とか、或は「袋小路」とか、そういうフレーズばかりとなってしまうのが我ながら情けないけれどね。
今は詩を紡ぐ精神的余裕も時間もないけれど、恐らく僕がいま何か詩を紡げば、やはり似たようなフレーズを使い回してしまうだろう。
少なくとも、人間の息吹きから遠く離れた場所を夢見ながら、袋小路で地べた這うような今日この頃だ。
頑張るしかないのだけれど……辛い。正直、煮詰まっている。
煤けた我が影法師よ、お前の主はこの状況を乗りきる事が出来るのだろうか……厳しい。やはり煮詰まってしまう。