歌.376 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 思い出を浮かべれば浮かべるほどに沈みゆく夜長の心。……という思いを託して一首。

風景の一部と化すまで面影を月夜に浮かべ流れ落つ舟。

 この穏やかで静かな夜を、ずっと一人こうして過ごしていたい。明けぬ夜の中で思い出と戯れたり、夢見心地の物思いに耽りながら、気づけばお爺さんになっていられたらいいのにね。
 だって昼間の世界はあまりにも悪意と暴力の予感に満ち溢れていて、打たれ弱くて臆病な僕は、もう真っ平なんだ、そう、無礼で乱暴な光に曝されて屈辱を生かされる事にね。
 この夜の子供部屋で指しゃぶりながら、いつまでも微睡んで、いつまでもたゆたっていたいな。