僕が死んだら僕の中のあなたはどうなるのだろう? | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 僕が死んだら僕の中のあなたはどうなるのだろう?

 勿論この世界の何処かで
 あなたが颯爽と生きているのは知っているけれど、
 僕の中で生まれ育った幻影のあなたは
 現実を幸せに生きるあなたとは似て非なるもの。
 力強い現実のあなたとは違って、
 僕が何とかしてあげないと
 僕の外では生きられない。

 何だかとても可哀想。
 僕の中のあなたが可哀想。

 この煤けた
 薄汚い世界に閉じ込められたあなたを
 僕が何とかしてあげなくちゃ。
 少しでも
 僕の外へ解放してあげなくちゃ、
 あなたが何だか可哀想。
 水槽の中に揺れる金魚のように
 あなたがとても可哀想。

 だから僕は語るだろう
 生きている限りこんな風に
 何度もあなたのことを語るだろう
 僕の中のあなたのことを語るだろう
 繰り返し、
 しつこく語るだろう。

 だけど結局
 僕の死と共に僕の中のあなたも消える。
 どれだけ幻影の痕跡を闇に遺したとて、
 誰に顧みられることもなく
 僕の中のあなたも消える。

 あなたは何だか可哀想。
 僕の中のあなたは可哀想。

 だけど僕には切実に
 あなたのことが必要なんだ。
 お願いだから
 僕の中で揺れ続けていてくれ。