ウォルフガング・ペーターゼン1) 監督
いじめられっ子の主人公(バスチアン)が古書店で手にした本は「はてしない物語(ネバーエンディング・ストーリー)」でした。
バスチアンは”ファンタージェン”の世界に引き込まれ,無(Nothing)によって崩壊していく世界を目の当たりにします。
アトレイユという少年がこれを阻止するべく行なった数々の冒険を,一緒に体験したバスチアンが新たな”ファンタージェン”を形作っていくという物語。
「ザ・シークレット・サービス」とのつながりは ウォルフガング・ペーターゼン監督です。
この映画の原作は実際に「はてしない物語(ネバーエンディング・ストーリー)」でドイツの作家が書いた児童向けの本です。
映画も子供向けのファンタジー映画なのかと思って見ました。
でも見始めると,なかなかどうして,けっこう物語の中に引き込まれますね。
E.T. (1981)もそうですが,子供になりきって子供目線で見るとすごくいい映画だということがわかります。
子供らの想像力を刺激する作品です。
主人公のバスチアンは本屋のオヤジに「本は読んでいるうちに自分がターザンやロビンソン・クルーソーになれる,でも読み終わればもとの自分に戻れる,でもこの本は・・・」と言われて物語が始まります。
ファンタージェンの中の住人,いろいろな生き物(クリーチャー)が,無(Nothing)が迫ってきていると話していることで何となく状況が分かります。
ロックバイターはイイですね。本当に岩のような質感が出ていいてコミカルな表情が素敵です。
一方,カタツムリやコウモリはもうちょっと何とかしてほしかったなぁ
ファンタージェンの中の主人公アトレイユが女王を救うべく馬(アルタクス)に乗って旅に出て行きますが,草原や砂漠を走る場面で流れる軽やかな音楽がイイですね。
悲しみの沼でこの馬(アルタクス)が沈んでしまいます。このシーン,2頭の馬を何カ月もかけて調教して撮影されたようです。けっこうな見せ場ですね。ここは本物の馬を使っています。
モーラに出会うアトレイユ。
この亀のモーラは良かった。良くできていますね。
南のお告げ所に行けといわれましたが,1万マイルの離れた距離だと。
1万マイルといわれてもピンとこないですが,だいたいユーラシア大陸西の端ポルトガルリスボンからロシアの東端までです。
グ-グルマップで実際に1万マイルの距離は測れませんでした。途中,道がないようです。図の青線の距離はは9100マイルです。
1万マイルもファルコン(正確にはFalkor)に乗ってひとっ飛びでした
この竜(と言っていました) ファルコンは,6000枚のプラスチックの鱗とピンクの羽毛を持った全長13mの電動クリーチャーだそうです。
かわいらしくもあり,気持ち悪くもありかな。
本当にドラゴンらしいリアルなドラゴンでも良かったんじゃないとも思いました。
ちなみにこれはハリーポッターに出てくるドラゴン
でもファルコンに乗って空を駆けめぐることができたら楽しいでしょうね
草原や砂漠を走る場面で流れていた音楽がここでも流れます。
音楽はクラウス・ドルディンガー,ジョルジオ・モロダーが担当しています。
リマールの歌ばかりが注目されますがこの曲もきれいでイイ曲です。
ファンタージェンの端でグモルク(狼)と対面したアトレイユ
40年前とはいえ,最大の敵なんだから,もうちょっとクオリティを上げたクリーチャーにしてほしかった
アトレイユの冒険が終わってファンタージェンがまさに消えゆくとき,Childlike Empressが新しい名前を呼んでと涙ながらに訴えるところは,子供とは思えない演技でしたね。
バスチアンが"Moon Child"と叫ぶところは感動的でもあります。
この女王が泣くシーン,撮影を終え,みんなが完成を喜びました。でも彼女が楽屋に戻ると,まもなくクルーがドアをノックして,ハエが彼女の周りを旋回していることがわかり,撮り直しになったそうです。
ラストシーンの街の空撮はヘリコプターから撮影されました。街の12ブロック四方を封鎖して撮影したそうです。もちろん現在だったらドローンでしょうね。
いつ見ても童心に帰してくれる名作だと思います。
最後にテーマ曲。ジョルジオ・モロダーの作曲です。
ドイツ語版にはこの主題歌はなく,映画の音楽はクラウス・ドルディンガー作曲のオーケストラ・スコアのみだったそうです。
またこの主題歌は当初アメリカではたいしてヒットしなかったようです。この曲がアメリカでヒットしたのは,劇場公開の1年後に映画のホームビデオが発売され,かつケーブルテレビで放映された後のようです。
1) ウォルフガング・ペーターゼン
ドイツ人です。ドイツ映画の U・ボート(1981)は第二次世界大戦時代のドイツ軍潜水艦を舞台にした映画でアカデミー賞,監督賞や撮影賞にノミネートされました。数ある戦争映画の中でも上位にランク付けしたい作品でした。その後,英語の映画デビュー作がなんと「ネバーエンディング・ストーリー」だというのが不思議です。
スティーブン・スピルバーグとペーターゼンは友人で,この映画をアメリカ市場に出すため,スピルバーグは編集とマーケティングを手伝ったそうです。残念ながらアメリカでは興行成績は今ひとつふるいませんでしたが,日本ではけっこうヒットしています。
その後も アウトブレイク(1995),エアフォース・ワン(1997)と作品数は少ないもののおもしろい作品の監督をしています。