皆さんおはようございます
先日、東京ディズニーシーに遊びに行った際に、ディズニーシー・トランジットスチーマーラインで、今まで乗船したことのない船に乗ることができました。
こちらの赤い船、フランシスドレイク号(Francis Drake)です。
トランジットスチーマーラインの他の船と同様に、実在の歴史上の人物の名前が船名になっていて、イギリスのフランシス・ドレイク(Francis Drake, 1540-1596)に因んで名付けられています。
16世紀のエリザベス1世女王の時代のこの人物、何をした人かと言うと、イギリス海軍の提督にして冒険家、1577年から1580年にかけての世界一周航海で有名な人物です。
彼の世界一周航海は、イギリス人としては初めての事業、世界でも一度の冒険航海で世界一周を成し遂げたのは二例目、複数回にわたる冒険航海を通算しても三例目という画期的なものでした。
この功績により、世界一周航海からの帰国後の1581年に、エリザベス1世は彼にナイト(Knight)の勲章を授けます。
このような探検家・冒険家としての彼の業績を評価してか、東京ディズニーシーでは、フランシス・ドレイクは「探検家と冒険家の学会」(Society of Explorers and Adventurers, S.E.A.)の名誉会員に名を連ねていることを、フォートレス・エクスプロレーションで確認することができます。
(一番右の肖像画がフランシス・ドレイク↓)
こちらの壁画に描かれている「ゴールデンハインド」(Golden Hind)という船が、フランシス・ドレイクの旗艦。彼はこの船の上でナイトに叙勲されました。
ところで、イギリスでは冒険航海によって名を馳せて貴族の一員となり、ディズニーシーのS.E.A.にもその業績が高く評価されているフランシス・ドレイクですが、世界中で英雄の扱いを受けたわけではありません。
彼はスペインでは恐ろしい海賊の頭目として有名でした。
以前、東京ディズニーランドの「カリブの海賊」のアトラクションの建物の中にある、英語とスペイン語が混在した宝の地図についての記事を書きました。
その記事の中で、「私掠船」(privateer)という言葉を紹介しています。
これは、敵対する国の海軍力や商船隊の能力を低下させる目的で、私的に組織された艦隊に敵国の船舶を襲撃・略奪する免許を与えることです。
フランシス・ドレイクもエリザベス1世から免許を得て、敵国であるスペインの艦隊を襲撃する私掠艦隊の提督だったのです。
そして、フランシス・ドレイクの世界一周航海は、それまでスペインを除く西ヨーロッパのほとんどの国々にとって手付かずの海であった新大陸の西海岸に到達したことで、新大陸の西側海域の制海権を巡るスペインとイギリスとの衝突の扉を開いたと言われています。
1588年の7月から8月にかけて英仏海峡で起きたイギリスとスペインの海戦では、ドレイクは司令副長官として参戦し、当時「無敵艦隊」(アルマダ、Armada)と呼ばれたスペイン艦隊を打ち破っています。
そんなわけで、フランシス・ドレイクはスペインでは「かのドレイク」(El Doraque)という名称と共に恐れられ、時の国王フィリップ2世は、ドレイクの捕縛又は殺害に成功した者に対し20,000デュカット(現在の10億円相当!)の賞金を与えると宣言するほどでした。
レオナルド・ダ・ヴィンチのように、万人がその功績を認める偉人とは異なり、国によってここまで評価が異なる人物がS.E.A.の名誉会員に認定されているというのは、なかなか珍しいことのように感じます。
(参考:これまでに取り上げたトランジットスチーマーラインの記事はコチラ↓↓)