吉川隆弘ピアノリサイタル @あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール
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主催・お問い合わせ
イプシロン・インターナショナル株式会社
TEL: 03-6421-8131 / Mail: office@ypsilon-i.com
後援
公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン / 世界の子供服 マ・メール / 公益財団法人 日伊協会
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に行ってきました。
18時半開場/19時開演のソワレ(夜公演)です。
演奏曲目
ブクステフーデ 組曲 ニ短調 BuxWV 233「愛の組曲」
ブラームス パガニーニの主題による変奏曲 Op. 35
リゲティ ムジカ・リチェルカータ 第1番〜第3番
(休憩 15分間)
ドビュッシー 前奏曲第1巻より
第4曲 音と香りは夕暮れの大気に漂う
第5曲 アナカプリの丘
第6曲 雪の上の足跡
第7曲 西風の見たもの
第8曲 亜麻色の髪の乙女
一柳慧
雲の表情 I / タイム・シークエンス
ショパン
夜想曲 第20番 嬰ハ短調 KK. IVa-16「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ」
マズルカ 変イ長調 Op.17-3
マズルカ 嬰ハ短調 Op. 63-3
ポロネーズ第6番 変イ長調 Op. 53「英雄」
(アンコール)
★12月15日の東京公演(@サントリーホール・ブルーローズ)終了後に紹介します。
端的に。(後ほど加筆修正します)
●リゲティと一柳慧について、吉川隆弘のピアノ演奏・解釈は金字塔。
リゲティや一柳慧の名曲集のCDを出して欲しい。
猛烈に希望します。
わたしは初めて聴きましたが(まったく初めてです。曲の存在さえ知らないくらい)、フランス料理を作るときの考え方ーー分解と再構築ーーの現場を見た思いでした。音、リズムを要素に分解して、反復持続と変奏の技術を利用して、テクスチャー(色彩、トーン)を作っていく……「音楽って自由に作っていいんだ」気持ちが前向きになりました。分からないけれど、分からないからこそ背中を押してくれる、その芸術、音楽の手の温かさ……
●ドビュッシーは、滋味ある極上のポトフの濁ったスープを思わせる音の重ね合わせ方が印象的。
「ヨシカワ・ポトフ・トーン」と言いたいくらい。
わたし自身、もともとドビュッシーが好きというのもありますが(人生で初めて買ったクラシック音楽のCDが、フィリップス社のレーベルで、ウェルナー・ハースの演奏する『ドビュッシーピアノ名曲集』でした。我ながら特殊な入り方かもしれません。ショパンやベートーヴェンやバッハよりも先にドビュッシーだったわけですから)、音の重ね合わせに細心の注意を払っているのが分かる解釈で、機械合成では出せない人間の手が作る響き、トーンでした。「亜麻色の髪の乙女」など、パワーコードのオリエンタルな響きにゾクゾクしました。パチュリやコリアンダーの香りのような濃密さとセクシーさ。
●ブクステフーデは、ボナールやヴュイヤールなどのアンティミスト(親密派)の絵を思わせる親密で可憐な感じがとてもよかった。
ブクステフーデは初めて聴きました。
クリスマス前の親密で温かい舞曲を首尾よくまとめた印象で、セルフライナーノーツにも書かれていましたが、ヨーロッパ、さらにはキリスト教的なものーー神の下での平等、大地を遍く照らす冬の太陽の柔らかい光を感じさせる演奏でした。
12月7日は、吉川さんが活躍されているイタリア・ミラノの守護聖人である、聖アンブロジウスの日。聖アウグスティヌスの師匠であり、一説では声に出さない読書=黙読を行った最初の人とも言われます。内向的で慎ましやかな聖アンブロジウスの人柄にふさわしい献奏だったと、心がほんのりと温かくなりました。
●ブラームスは選曲理由を知りたい。
ブラームスってロマン派の作曲家だという当たり前のことに気づかされる演奏でした。
個人的に、近現代音楽の予感が強い晩年の作品が好みですが、壮年時代のブラームスのピアノ曲を聴けて、ありがたかったです。それにしても、どうしてこの曲選んだんだろう?
●ショパンはいい意味でブーニ
ンチック。
ショパン、特に最後の「英雄ポロネーズ」は良い意味でブーニンぽかったです。とても男性的でわたしのショパン、わたしのポロネーズという感じ。
個人的には吉川さんのピアニズムはマズルカと一番相性がいいと思っているのですが(わたしの感想です)、大満足のメインディッシュでした。
松花堂弁当やヌーベル・キュイジーヌを思わせる、素材の良さの引き出し方に心を砕いた演奏解釈。
素敵な演奏をありがとうございました。