本の紹介です。
『ある家族の会話』
(ナタリア・ギンズブルグ 著、須賀敦子 訳、白水Uブックス、1997)
白水社のサイトより
内容説明
イタリアを代表する女流作家の自伝的小説。舞台は北イタリア、迫りくるファシズムの嵐にほんろうされる、心優しくも知的で自由な雰囲気にあふれた家族の姿が、末娘の素直な目を通してみずみずしく描かれる。イタリア現代史の最も悲惨で最も魅力的な一時期を乗りこえて生きてきたある家族の物語。
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ギンズブルグ(1916-1991)の傑作。
悪魔に魂を売らなかった(しかしその代償は決して小さくはなかった)家族の物語です。
明るくあり続けよう、普段どおりであり続けようとするレーヴィ家(ギンズブルクの実家)のひとたちはまことにしなやかでしたたかだ、とまとめてしまうのがいかに雑か。
めいめい欠点を持つメンバーがいかに自由闊達な家族=共同体を作っていけるのか、戦争やファシズムという特殊環境で、運命によって実験させられているような印象を受けました。
ともあれ、傑作であることは間違いありません。おすすめします!