【本】『翻訳教室 はじめの一歩』(鴻巣友季子著、ちくま文庫、2021) | 西宮・門戸厄神 はりねずみのハリー鍼灸院 本木晋平

西宮・門戸厄神 はりねずみのハリー鍼灸院 本木晋平

鍼灸師、保育士、JAPAN MENSA(メンサ)会員/IQ149(WAIS-Ⅲ)、日本抗加齢医学会指導士、実用イタリア語検定3級。趣味は読書、芸術鑑賞、小説執筆(2019年神戸新聞文芸年間賞受賞)、スイーツめぐり、香水づくり。

本の紹介です。

 

『翻訳教室 はじめの一歩』

(鴻巣友季子著、ちくま文庫、2021)

 

翻訳家の翻訳とはどのようなものか、例を一つ。

 

ベトナム戦争に出征する二十歳ぐらいの兄に、十五歳くらいの弟が別れの言葉を叫んだ。

I love you brother, I love you brother,

「兄貴、死ぬんじゃないぞ。」

この訳、天才的!

わたしなら「兄ちゃん!  兄ちゃん!」でしょうか……

 

何か翻訳する予定はない、何かを翻訳するつもりもないひとにも読んでほしい名著です。

なぜ言葉を大切にしないといけないか、なぜ言葉に誠実に向き合わなければならないかが書かれているからです。

 

●これは本当に覚えておいてほしいのですが、自国の言語とか文化を大事にするということと、外国語を身につけるということはまったく矛盾しないということです。★p173-4

●他言語を身につけるというのは、新しい視点をもつことでもあります。★p176

●なにか違和感を残すものは、あなたにとって意外と大事なものかもしれません。p187

●うまく転んだずれというのは、往々にしてなにか真実を含んでいます。 p197

●まずは、自然な訳より的確な訳を目指してください。p211

 

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