今月の本の紹介です。
(國分功一郎 、熊谷晋一郎 著、新曜社、2020)
432ページと読みごたえのあるボリュームですが、とても読みやすいです。
責任を果たす上で、言葉と歴史って大事にしないといけないな、思っている以上に大事なんだな、と気づかされました。
また、「悪いことをした奴、責任を果たさなかったには罰を与えなければならない」という一見正しいことを再検討してみるーー良い人間、美しい人間になるための個人的・社会的条件が、一見正しいことからこぼれ落ちていやしないか注意する(想像する)ことが必要だろうということも。
おすすめします。
以下、興味深く思った箇所のメモです。
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●「高信頼組織研究」(High Reliability Organization)
--救急医療の現場とか、航空機関連の会社とか、失敗が許されない組織
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「ジャスト・カルチャー」の構築へ
「要するに、失敗を許容する、犯人探しをしない文化です。誰が悪かったのか、ということで、その人個人を罰しないという。
ただしその代わりに自分の経験したことはすべて包み隠さず話さなくてはなりません。そして、組織全体の問題として全員が受け止め、考え、応答する責任は課せられます。隠さず話すことは、失敗も含めて賞賛され、組織にとっての貴重な学習資源として受け止められる。罰すると、人は隠す。それでは、組織は失敗から学べない。だからひたすら、今日こんな失敗をしました、あんな失敗をしました、とネガティヴなことも話す、そうすると褒められる。それが「ジャスト・カルチャー」です。とても面白い逆説ですね。本気で失敗を減らしたければ、失敗を許さなければいけない。そのためには、毎日、過去の記憶の棚卸しをし、自分の経験をシェアし続ける。」
(414ページ、第4章 中動態と「責任」)
●OECD(経済協力開発機構)の「これからの教育に求められるキー・コンピテンシー」を反対に読めば自閉症の条件
●ギリシャ語の中動態「惚れる エマライ」は能動的?受動的?
●2つの障害「ディスアビリティ disability」と 「インペアメント impairment」
・環境との相互作用で発生したり消えたりする障害 「ディスアビリティ disability」
・どんな環境に身を置いてもあいかわらず私の身体の特徴として存在し続けている障害、環境からは独立して存在している障害 「インペアメント impairment」
日本語にするとどちらも「障害」になってしまうが、まったく異なる