おすすめの本のお話。
(湯浅邦弘 著、角川ソフィア文庫、2020)
荀子は「性悪説」「礼治」「中庸」などの論で有名です。
今の日本社会の状況を見ていると、
「性悪説」や「礼治」をこそ取り上げないといけないのかもしれません。
ここでは、
“「マナー」を遵守して、いい意味で「ルール」を死文化させることが、社会活動での高い自由度を支えるはず“
とだけ書きます。
ここでは「中庸」について。
「中庸」「ほどほどに」は、怠け者御用達の方便の最右翼だろうと思います……
彼らの「ほどほどに」「適当なところでやめておきます」は、たいてい、
ほどほどや適当で「さえ」もないレベルだったりするものですが、
『荀子』の「中庸」はもちろん、こういう低レベルな意味ではなく、
「貪るな、傲(おご)るな」
という意味です。手抜きの口実では断じてありません。
自助の精神にも通じるかと思います。
「一から十まで面倒みてくれ」ではなく、
「四しかできないのに十できるはず」と無理するのでもなく、
(できないくせにできるように振る舞うのは別の意味でNG)
「自分で工夫して頑張ってみたがどうしても四までしかできない、
だから残りの六は助けてください」
というのが、「中庸」というものではないか。
知らず貪ってしまっている自らを省みるために、『荀子』をおすすめします。
この文庫本に紹介されている、
中庸の精神を見える化した「宥坐*の器(ゆうざのき)」の実物を見てみたいです。
栃木県の足利学校にあるようで、動画も見つけましたが、
いつか足利学校を訪ねてみたいーー新型コロナの流行がおさまったら、ぜひ。
*宥坐(ゆうざ):常に身近に置いて戒めとすること