【本】 『荀子 ビギナーズ・クラシックス』 (湯浅邦弘 著、角川ソフィア文庫、2020) | 西宮・門戸厄神 はりねずみのハリー鍼灸院 本木晋平

西宮・門戸厄神 はりねずみのハリー鍼灸院 本木晋平

鍼灸師、保育士、JAPAN MENSA(メンサ)会員/IQ149(WAIS-Ⅲ)、日本抗加齢医学会指導士、実用イタリア語検定3級。趣味は読書、芸術鑑賞、小説執筆(2019年神戸新聞文芸年間賞受賞)、スイーツめぐり、香水づくり。

おすすめの本のお話。

 

『荀子 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典』

(湯浅邦弘 著、角川ソフィア文庫、2020)

 

 

荀子は「性悪説」「礼治」「中庸」などの論で有名です。

 

今の日本社会の状況を見ていると、

「性悪説」や「礼治」をこそ取り上げないといけないのかもしれません。

ここでは、

 

“「マナー」を遵守して、いい意味で「ルール」を死文化させることが、社会活動での高い自由度を支えるはず“

 

とだけ書きます。

 

ここでは「中庸」について。

 

「中庸」「ほどほどに」は、怠け者御用達の方便の最右翼だろうと思います……

 

彼らの「ほどほどに」「適当なところでやめておきます」は、たいてい、

ほどほどや適当で「さえ」もないレベルだったりするものですが、

 

『荀子』の「中庸」はもちろん、こういう低レベルな意味ではなく、

 

「貪るな、傲(おご)るな」

 

という意味です。手抜きの口実では断じてありません。

 

自助の精神にも通じるかと思います。

 

「一から十まで面倒みてくれ」ではなく、

「四しかできないのに十できるはず」と無理するのでもなく、

(できないくせにできるように振る舞うのは別の意味でNG)

 

「自分で工夫して頑張ってみたがどうしても四までしかできない、

だから残りの六は助けてください」

 

というのが、「中庸」というものではないか。

 

知らず貪ってしまっている自らを省みるために、『荀子』をおすすめします。

 

この文庫本に紹介されている、

中庸の精神を見える化した「宥坐*の器(ゆうざのき)」の実物を見てみたいです。

栃木県の足利学校にあるようで、動画も見つけましたが、

いつか足利学校を訪ねてみたいーー新型コロナの流行がおさまったら、ぜひ。


*宥坐(ゆうざ):常に身近に置いて戒めとすること