モーツアルトの最高傑作は? 〜頭の中で突然鳴った『レクイエム』の「キリエ」〜 | 西宮・門戸厄神 はりねずみのハリー鍼灸院 本木晋平

西宮・門戸厄神 はりねずみのハリー鍼灸院 本木晋平

鍼灸師、保育士、JAPAN MENSA(メンサ)会員/IQ149(WAIS-Ⅲ)、日本抗加齢医学会指導士、実用イタリア語検定3級。趣味は読書、芸術鑑賞、小説執筆(2019年神戸新聞文芸年間賞受賞)、スイーツめぐり、香水づくり。

仕事の帰りがけ、コーヨーで買い物をしていたら、BGMがモーツアルトでした。

ピアノ協奏曲第20番の第2楽章。

そう言えば、文芸評論家の小林秀雄は、モーツアルトが書いたト短調交響曲(交響曲第40番)の終楽章のメロディーが突然頭の中に流れたとか何とか『モオツアルト』で書いてたな(※)、と思っていたら

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(※)家に帰ってネットで調べたら、あちこちのブログで該当の一節が引用されていました。

『もう二十年も昔の事を、どういう風に思い出したらよいかわからないのであるが、僕の乱脈な放浪時代の或る冬の夜、大阪の道頓堀をうろついていた時、突然、このト短調シンフォニイの有名なテエマが頭の中で鳴ったのである。』
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モーツアルト『レクイエム』の第2曲「キリエ」

が頭の中で鳴り出しました。

こういう風に突然鳴り出すということは、何だかんだ言ってモーツアルトが好きなわけで(そんな自覚はなかったのですが)、「モーツアルト」という作曲家から『レクイエム』の「キリエ」を真っ先に連想するということは、今まで聴いてきたモーツアルトの音楽の中で一番好きなわけで(やっぱりそんな自覚はなかったのですが)、いくらつめたい冬の夜とは言え、湊川神社の横道を歩いているときにキリスト教の葬式音楽をーーそれも罪人が己を憐れんでくれと神に乞う歌を選ぶところが、我ながら自分らしいと思ってしまいました。

でも、素晴らしい音楽なんですよ。『レクイエム』。
中でも「キリエ」は、モーツアルトの最高傑作であり、西洋音楽の最高傑作の一つだと思います。

歌詞は至ってシンプル。
3行(実質2行)だけです。

Kyrie eleison.(主よ、あわれみたまえ。)
Christe eleison.(キリストよ、あわれみたまえ。)
Kyrie eleison.(主よ、あわれみたまえ。)

当然、音楽も「Kyrie eleison.」「Christe eleison.」を繰り返しているだけ。
(「2重フーガ」という、2つの主題を同時に繰り返す特殊な繰り返し方です)

なのに、すごい。

「シンプルなものを重ねるとすごい」ヨーロッパ=キリスト教文化の精髄を音で表現すると、このような音楽になるのでしょう。

機会があれば、一度聴いてみてくださいね。