鍼灸師に向くひと、向かないひと 〜鍼灸師の適性について〜 | 西宮・門戸厄神 はりねずみのハリー鍼灸院 本木晋平

西宮・門戸厄神 はりねずみのハリー鍼灸院 本木晋平

鍼灸師、保育士、JAPAN MENSA(メンサ)会員/IQ149(WAIS-Ⅲ)、日本抗加齢医学会指導士、実用イタリア語検定3級。趣味は読書、芸術鑑賞、小説執筆(2019年神戸新聞文芸年間賞受賞)、スイーツめぐり、香水づくり。

きょう書く記事、緊張します。

鍼灸師の適性

について。

むかしのひとはどう考えていたか。

黄帝内経(こうていだいけい)という東洋医学のバイブルがあります。
現存する中国最古の医学書で(紀元前1世紀~2世紀頃成立)、「素問」(そもん)と「霊枢(鍼経)」(れいすう/しんきょう)の2部に分かれるのですが、

「霊枢」の中の官能篇第七十三に、どういうひとが鍼灸師になればいいかが書いてあります。
※『鍼灸臨床における医療面接』(丹澤章八 編著)経由の孫引きになりますが・・・

○語徐而安静、手巧心審諦者、可使行鍼艾、理血気而調諸逆順、察陰陽而兼諸方

(ことばが緩慢、行動がもの静か、手先が器用で心が繊細な人は、鍼と灸をさせて、気血の順逆を調和させ、陰陽の盛衰を観察して、処方や薬の配合などの医療行為を兼ねさせるとよい)

○疾毒言語軽人者、可使唾守廱呪病

(ことばに毒があって人を軽視する人は、廱腫(できもの)に唾を吐きかけ、呪で邪気をはらえばよい)

わたしはというと・・・
次の4つの条件すべてを満たしている鍼灸師は、いい鍼灸師だと思います。

(1)鍼灸が好き
(2)人間が好き
(3)世の中を明るくしたいという使命感がある
(4)掌が温かい

ここまで読まれたみなさんはお気づきかと思います。
わたしは自分のことを現にいい鍼灸師だと思っているし、これからもいい鍼灸師であり続けたい。

ここだけの話、鍼灸師という仕事は、正直、儲かりません。
ワーキングプアのサンプルみたいな職業です。

理由は簡単。

1対1の対面商売

だから。

儲けたければ、単価を上げるか回転数を上げるかしかない。
商品販売の場合は1対Nで、Nなんていくらでも増やせますが、1対1の鍼灸治療の場合、どうしても限界がある。
早い話「6人同時に来られましても・・・」という感じです。
実際、繁盛している鍼灸院をよく見ると、スクールや講習会を主催したり、物品販売を組み合せたり、と多角経営しています。

でも、自信を持って言えるのですが、

鍼灸師ほどいい仕事もないんですよ。
ひとが治っていくんだから。

もちろん治すのが我々鍼灸師の仕事だから当然と言えば当然なんですが、

患者さまが笑顔になり前向きになっていく。

その現場に立ち会えた、患者さまの健康づくりのお手伝いができたという満足感や達成感は、何ものにも代えがたい。

だから。

「鍼灸師になりたい! 鍼灸師として一生働きたい!」

というひとが増える社会は、いい社会だと思っています。
世の中捨てたもんじゃないと思っています。

「ライバルが増えるからそれは困るなあ」

と難色を示す鍼灸師の先生もいらっしゃるようですが、わたしはそうは思いません。

大歓迎です。


鍼灸の良さ、素晴らしさを知っているひとが増えるのです。絶対いい社会になりますよ。絶対に。