南新宿、午後七時、インナーチャイルドと称されるグループワークが始まった。七人の参加者の中で、県外からの参加者は、たった一人きりであった。「思いの強さを感じますね。私も、沖縄まで行ったことがあります。悩みが強いほど、カラッと回復しますからね」女性インストラクターは、遠路をいたわるように言った。本当は、過去世を知りたかったんです。でも、予算が……。言葉を、飲み込んだ。
「さあ、今、心に浮かんでいるのは、どんな光景ですか。しっかりと意識できたら、目をあけてください」
二十余りの質問と誘導が終わると、インストラクターは言った。案の定の思いを胸に目を開けた。
「子供時代は、デリカシーの無い大人に囲まれて暮らしていました。姉と比べられて、いつも傷ついていました。極め付けは小学校の四年生くらいの時でした。ある人から、面と向かって愚妹賢姉と言われたことです。血が逆流したように感じられて、その場で固まってしまいました。心に浮かんだのはそのシーンです。やっぱり、という思いです」
話ながらも、針で刺されたように胸が痛んだ。
「あなたは、そう言った人のことを恨んでいますか」
「恨みはしませんが、許してはいません。ほっぺたの一つもぶん殴ってやりたいです」
「お姉さんのことは、どうですか? どこかで、恨んではいませんか?」
「それはありません。ただ、おいしい所をみんな持って行かれたようで、自分が可哀想になります。確かに、子供時代の姉は絶対的な存在でした。お免状を沢山もらっていました。私は、一度ももらったことがありません。それは事実なんですが、成長してからは、それほど大きな違いはないのではと思います。でも、現実には得に経済面において、姉は豊で、私は何をやってもうまく行かず、あっぷあっぷしています」
「何をやってもうまく行かないとおっしゃいましたけど、具体的に話していただけますか。もちろん、差支えのない範囲で結構です」
「わかりました」