第13章 因幡の白兎(19) | 3.5次元の不倫

3.5次元の不倫

この本は恋愛と人生についての小説ですが、
ひきつづき児童書(英語の対訳付)を書きました。
おたのしみに!

「商売なんてね、天国と地獄の往復よ。始めからわかっていたら、誰もやりはしないんだけどね」

「お願いします。お金は、子どもの保育料なんです。夕方には払わなくちゃならないんです。お願いします。いくらでもいいんです」

選挙の立候補者もここまではと思うほど、お願いしますの連呼であった。他に、すべを知らなかった。ついに、女主人は、言った。

「私もね、色々な経験をして、ここまできたのよ。人に言えないようなこともあった、もちろん、人を使っていたこともあるしね。貴女の一生懸命さには、胸を打たれたわ。昔の自分とよく似ているわ」

「そうですか。私、まさかここまでお金に困る人生を送るようになるとは、思ってもいませんでした。苦しいです。でも、頑張らないと…。子どもが待っているんです。何とか買い取ってください。お願いします」

「高い買い物をしたんでしょう?」

「はい。百三十万もしました。愚かなことをしました」

「物ってね、売る時は二束三文になっちゃうのよ。よく、わかったでしょう?」

「はい。でも、惜しいなんて言っている場合じゃないんです。いくらでもいいんです。お願いします」

「本当に、いくらにもなりませんよ」

「はい。覚悟しています」

(せめて、三万になれば…。かき集めて支払いはできる。お願いします)。手を合わせて、裁きを待った。

「じゃあね、貴女に免じて引き取りましょう。五万でいいですか」

(やった。助かった。これで何とかなる)。値千金の五万円であった。