祈りとは裏腹にしかし、仕事を取り巻く情勢に暗雲が垂れ込めてきた。大きな仕事が終わってしまい、受注の後続が断たれてきたのだった。パッシブエイトを立ち上げた時からの不安要素、受注一辺倒で自社製品を持たない会社の当然とも言える窮状だった。
「子どもは自分の食べる米俵を背負って生まれてくるって、あんこ堂の奥さんが言っていたけど、本当かしら。まさか、ショー君にだけ背追わせるのを忘れたわけじゃないでしょうね」
「被害妄想もいいところだよ。無理もないけど、疲れているんだよ」
「疲れもするわ。ショー君に食べさせる御飯がなくなったらって考えると、気がおかしくなるもの」
「ここは、辛抱だよ。なんとかしのいで、次の発注を待つしかない」.
「いやだわ。待っているだけなんて。それこそ発狂しちゃうわ」
「だからさ、今の仕事と並行して自社製品が持てないものか、真剣に考えてみようよ。そうしないと、恐らく、明日はないと思うよ」
「今だから言うけど、徹夜をするたびに、やり切れない思いにかられたわ。破滅に向かっているのがわかっていながら眠ることができないんだもの。忙しくてどうしようもない時でも、かりそめの姿にしか思えなかった。だって、切られたら終わりなんだから。恐れていたことが、とうとう現実になってしまったのね。でも、泣いてなんかいられないわ。ショー君がいるもの」
「今から立ち上がればきっと間に合うよ。だけど、サンの小屋があって良かったね。あそこだと、落ち着いて物事を考えられるから」
「何とかしましょうね」
楽園のようなサンの小屋で、知恵を出し合う日々が続いた。楽園があるうちに、奈落へ落ちない算段を考えなければならなかった。事態は、それほどに逼迫していた。