第12章 サンの小屋(13) | 3.5次元の不倫

3.5次元の不倫

この本は恋愛と人生についての小説ですが、
ひきつづき児童書(英語の対訳付)を書きました。
おたのしみに!

「先生、どうでしょうか」

「風邪のビールスが目に入ったんですね」

「それで、目は?」

「ビールスが体内から消えれば目も治って行きます。少し時間はかかりますけどね。お母さん、大丈夫ですか。心配いりませんよ」

「はい。あのう、後遺症の心配はありますか?」

「ありません」

「そうですか。ありがとうございます」

膝から崩れ落ちそうになった。

「良かった。救われた!」

小谷野が、泣きそうな声を出した。

(おんぶさえいやがるほど、束縛を嫌う子だってわかっていたのに、無理して預けて、こんなひどい目に遭わせてしまった。大馬鹿者だわ。ショー君、これからはずっと一緒にいようね。おめめ、ちゃんと治るからね。ご免ね)。その夜、二人の話し合いは、遅くまで続いた。

数日後、露木さんの腕に抱かれて、息子はご満悦だった。保育園生活は、わずか二週間足らずで幻のごとく消え去った。

「一人息子だから無理もないけど、甘過ぎるんじゃないの? 子どもにだって少しは我慢してもらわなくちゃね。稼いだお金がみんな消えちゃうじゃないの」

隠しておくわけにもいかず、保育園の件をあんこ堂の奥さんに話したところ、語気鋭くたしなめられた。たじろぐほどだった。