第12章 サンの小屋(12) | 3.5次元の不倫

3.5次元の不倫

この本は恋愛と人生についての小説ですが、
ひきつづき児童書(英語の対訳付)を書きました。
おたのしみに!

(平山先生の奥様が言う通り、世の中には、どうしようもないと割り切るしかないことがある。先生のお宅が、遠く離れた祖父母に預けるしかなかったように、うちは保育園に預けるしか道がない。どうしようもないのよ。でも、先生のお宅に比べれば、うちはまだマシかもしれない。夜には会えるんだから。それに、取越し苦労っていうこともある。案外、お友達と楽しく過ごしてくれるかもしれないし、そう信じるしかない。今日は図書館に来て良かった。親の苦しみを分かち合える人が出来たから。ショー君、しばらくの間、我慢してね。ご免ね)。

明日の糧 煩うことなく 抱き締めたし

愛しき盛りの 吾子を預けて

本を注文しての帰り道、それでも涙は止まらなかった。

入園して十日目、息子は熱を出して園を休んだ。そして翌朝、起きてきた息子の目を見て、卒倒しかけた。片目が大きく腫れて、瞼が完全に塞がっていたのだった。夜なべ仕事でまだ眠っている小谷野を、もの凄い勢いで揺り起こした。

「どうした?」

「ショー君の目が、大変!」

「医者だ、医者!」

親の異変に驚いたのか、息子が大声で泣いた。

<南無阿弥陀仏><南無妙法蓮華経><アーメン>、診察室で、知りうる限りの神仏にすがった。小谷野は、何かを念じるように目をつぶっていたが、こらえかねた様子で尋ねた。