「ええ…。でも、目が腫れた時のショックがあまりにも大きくて、またあんなことになったらと思うと…」
「熱を出すことくらいあるわよ。子どももそうやって慣れていくのよ。うちみたいに放ったらかしにしちゃいけないけど、乳母日傘で育てるのもどうかしらね。ひ弱になって、使い物にならなくなるわよ。少し、様子をみればよかったのに」
「はい。とりあえずは露木さんにお願いして、もう少し大きくなったら、また考えようかと思っています」
「そうなの…。露木さんにショー君を取られないようにね」
「……」
悪気とも思えない奥さんの言葉が、グサリと突き刺さった。
(二階で露木さんと遊ぶショー君の声をどんな思いで聞いているのか、誰にもわからないわ。半男半女から脱出したと思ったら、今度はさしずめ半父半母じゃないの。笑っちゃうわ。でも、何としても稼がなくちゃ。誰が何と言おうと、あんな経験、二度とご免だもの。ショー君の幸せに比べれば、すべてのものが無に等しい。小谷野さんと二人で必死で働けば、ショー君は笑っていられる)。夜に昼をつないだ。
「どこにお出かけしゅるの?」
「ショー君のお庭探しよ。ショー君とパパちゃんとママちゃんの三人でね」
「お庭しゃがし、遠いの?」
「少しだけ遠いけど、お菓子を食べている間に、すぐに着くわよ。ショー君の好きなお菓子を一杯持って行こうね」
「うん」