「すみません」
「結局は二年もたたないでつぶれちゃったじゃないの。でもね、お母さんは、つぶれてくれて良かった。いつまでも水商売をやっていたら、本当に自分の娘じゃなくなっちゃうからって、ホッとしてもいるのよ。親の気持にもなってごらんなさいよ。親不孝ね、本当に」
「はい。申し訳ありません」
「ウーから話があるって電話があったってお母さんに言ったらね、多分お金の話だろうから、なんとか引き受けてやってもらいたい。お母さんも協力するからって、私に頼んだのよ。その親心がウーにわかるかしら?」
「はい。有り難いと思っています。すみません」
「それで、どういう話なのかしら。昼休みなんて短いんだから、手短に話してもらえるかしら」
「はい。実は…」
憤りと蔑視が入り混じったような表情ではあったものの、姉は最後まで話しを聞いてくれた。話し終わると、小谷野の顔を思い浮かべ、祈った。(何と思われてもかまわない。でも、姉上様、どうかお助けください)。
「それで、坪いくらだって?」
(良かった! 祈りが通じた!)。
「一万円だそうです。百五十坪だから百五十万っていうことです」