第7章 道 行 (8) | 3.5次元の不倫

3.5次元の不倫

この本は恋愛と人生についての小説ですが、
ひきつづき児童書(英語の対訳付)を書きました。
おたのしみに!

前略 過日の話し合いが話し合いの土俵にのらなかった事を残念に思います。娘においては貴殿と相対する技量も度胸も持ち合わせておらず、夫婦の問題は共同責任であれば貴殿のみを責めるつもりは毛頭なく、娘のいたらなさも十分認識しております。別居も長きに及び、これ以上の放置は事態の泥沼化につながると深く危惧し、特に娘においては経済的に苦しく、ローンの返済も滞っているのが現状です。

早急に話し合いの場をもつことが肝要と考えます。なお、事態の解決には、貴殿と居を共にしている女性の意向を伺うことが不可欠であり、同席願いたく思います。貴殿より日時・場所を指定して下さい。 以上

「意外でした。なかなかできた方じゃないですか」

「ああ、僕は結構彼とはウマが合うんだよ。親父さんが動いてくれるのは朗報なんだけどね。貴女にまたイヤな思いをさせるのが悪くてさ」

「気負いも無ければ警戒も無い。心は真っ白よ。正直に話をするだけだわ」

しかし、言葉とはうらはらに、やり場のない苛立ちがつのってきた。

(親には出入り禁止をくらうし、アンタよばわりされるし、すっかり札付き女になっちゃったわ。自分に嘘をつかないで生きていこうとしているだけなのに。人生ってこわい。小谷野は強気なところを見せたけれど、たまにはヤケッパチな気持にもなるわよ)

自分で自分をいたぶってやりたい衝動にかられた。

「あちらのお父様には、内縁の者ですってご挨拶すればいいんでしょうか」

「いやらしい言い方をするね。今度そんな事を言ったら本気で怒るからね」

(だってそうだもん)。私は首をすくめた。