家族にお別れの手紙を書いていた。
この感じはどう表現していいのか、寂しくもあり、一方で、何か当然計画でもされていたような、何とも不思議でなりません。
人は皆、宇宙を往く旅人。右手に灯を持ち、左手に聖なる書を持って、航海に出ているのだと思います。ほんの少し、前の方だけしか灯は照らすことができません。けれど、左手の書によって勇気づけられ、進むのです。
流星が時おり、我が肩先をすれすれにかすめて、一瞬の生命を燃焼し尽くして行きました。満天の星たちはゆっくりと旅人をつつみ、悠久へといざないます。私は、涙をぬぐいながら、はるかなる未来へと前進を続けます。
来るべき日がとうとう来ました。
すでに矢は弦を離れたのです。
そっと手紙を折り畳むと、キッと唇を噛み締め、押し寄せる運命の波を迎え撃つかのように天を仰いだ。
「家を出たのは出張から半年後、夏の終わりだったわね。六畳の部屋で、貴方のレンタカーを待っていたっけ。とんでもでもない事をしているんだっていう思いがどこかにあって、形容しがたい心境だったわ」
「こっちはさ、レンタカーがひどいポンコツでハンドルを取られちゃってね、運転に夢中でかえってよかった。あれこれと考えずにすんだからね。アパートに着いた時には、開き直ったというか、だいぶ踏ん切りがついていた。苦しいのは、決断するまでだね」