第5章 けもの道 (17) | 3.5次元の不倫

3.5次元の不倫

この本は恋愛と人生についての小説ですが、
ひきつづき児童書(英語の対訳付)を書きました。
おたのしみに!

「恋は男を詩人にするっていうけど本当だね。これは凄いわ。ちょっとやそっとの事では驚かないトーホーもさすがにまいったよ。彼は本気だよ。他人じゃなくなったのは、覚悟を決めたからなんだよ。ここまで来たら、その覚悟に殉じるしかないね」

「御方様でも、そうなさいますか」

「ああ、そうするね。でも、いいかい。修羅を味わうよ」

「はい。すべての事は必然だと思うんです」

「うん。だけど、当面どうするかね。家に彼の居場所なんかないだろう」

「アパートを探してみるつもりです。彼も自由になるお金なんかないから、二人で何とかお金の都合をつけるしかありません」

「自分の尊厳を守るためにはお金が必要な時がある。こっちは貢ぐ相手もいないから、多少のお金なら心配してあげられるからね。遠慮なく言ってくれよ」

「ありがとうございます。何とかなると思いますけど、でも心強いです」

「非常事態にどう動くか、天はちゃんと見ている。人としての力量を問われているんだよ」

「はい」

それから数日後、小谷野課長から受け取った手紙の文字は大きく乱れていた。