ふ
「わっしょいさん、合格ですよ。
クラスの人も全員、合格してましたよ」
今では、はり師きゅう師も
ネットで合否を確認できるのかも
しれないが。
私が試験を受けた20数年前には、
恐らく、そのシステムは
なかったのだろうと思う。
当時は、合格発表当日、
学校の先生が発表会場まで
出向いて、
合格者の受験番号を
確認してくれることに
なっていた。
午後4時だったか、
5時だったか。
正確な時刻は
もう記憶にないが。
その日の夕方、
指定された時間以降に
学校に電話をかけると、
合否を教えてもらえる
手はずになっていたのだ。
昼間は仕事があって、
合格発表を見に行くのが難しい
夜間部の学生にとっては、
とても有難かった。
あの日は、もう。
朝から、ずっと。
そわそわ、はらはら。
午後3時を回ると、
うろうろ、ざわざわ。
合格したと聞いた時は、
本当に嬉しかった。
同級生が全員、
合格していたというのも。
Remember you
花吹雪舞う陽炎の径
どうしてますか
ふとした時に、頭の中で
よく流れたのが、この曲。
そして。
その流れに沿って
思い出したのが、
卒業式後の謝恩会。
椿山荘の大広間。
大葉のてんぶらが、
パリッと揚がっていて、
とても美味しかったことを
今でも鮮明に覚えている。
さすが、椿山荘。
技あり。
全員合格!
誰かに後ろめたさを感じたり
気兼ねしたりすることなく、
大いに楽めた。
あの日の謝恩会は、
忘れ難い思い出として、
ずっと私の心の中にある。
卒業後。
同級生同士で、
結婚したカップルがいる。
自宅から、片道2時間前後かけて
学校に通っていた彼女。
3年生の後半まで来ると
どうやら燃え尽きてしまったらしく、
学校に来なくなってしまった。
そして、恐らく。
1年生の頃から
彼女のことが好きだった彼。
なんと。
車を買って、彼女を自宅から
学校まで送迎することにしたらしい。
とてもお洒落だった彼が
購入したのは、プジョー。
確か。
彼女の自宅は鎌倉。
彼の自宅は三鷹。
毎日毎日。
学校がある日は、この二か所と
学校を行き来するわけだ。
しかも。
仕事終わりと、
学校終わりに。
いやはや、愛って。
凄まじく、美しい。
卒業後。
今度は、医者になるために
医学部入学を目指すと
言っていた同級生もいた。
なんだか、人間って。
すごくない?

