もちろん。
今回の父の一件では、
色々と考えさせられたけれど。
実は。
この少し前から
親子関係を考える
時間が増えていた。
私と子供たちの方の。
長男は、
来月で26歳。
もうじき婚姻届を
出す予定。
次男は、
高校3年生。
卒業後は進学し、
家を出る予定。
末の娘は、今年
高校生になった。
私の後輩でもある。
娘は、私が卒業した
金沢の高校へ通っているのだが。
自宅からは遠すぎて
とても通えない。
現在、当時の私と同じく
一人暮らしをしている。
だから。
もうそろそろ
いいのかもしれない。
自分のことを考えても。
まだ少なくても
あと数年は、子育てを卒業と
いうわけにはいかないけれど。
ここらで一度、
脱皮した方がいい。
理屈ではなく、
肌でこう感じる。
子供たちは、どんどん
大人になっていく。
然るべき
距離が必要。
そう。
子離れが。
ああ。
とうとう来たか。
でも、
これでいい。
こうでなければ
いけないのだ。
これからは、きっと。
母ちゃんとしての
人生よりも。
私の名前を冠した人生が、
私を待っている。
なんか楽しそう。
わははははははははは!
「あ! ある!」
ニア警察沙汰の後遺症で、
まだどこか呆けていた夕方。
次男が声を上げた。
先月、私が受けた資格試験の結果が、
ネット上で公開されたのだ。
合格者一覧の中に、
私の受験番号があった。
「いやー。母ちゃん、見直したわ」
真顔の上、
さも意外そうだが。
どういう意味だ。
一体、今まで
どう思っていたんだ。
「ああ。そう」
いや。
嬉しかったんですよ。
嬉しかったんだけど。
「わーい」
なんだか。
素直に
こう喜べなかった。
午前中の出来事との
落差があまりにも大き過ぎて。
心が着いて行けない。
頭の中は、
まだ若干運動会。
心は借り物競争に
駆り出されたままのような。
「なんと!今年で50歳の
お母さんが合格してしまいました!」
家族のグループライン。
してしまいました...?
次男、表に出ろ。
「お母さんでもいけるのね!」
お母さんでも...?
娘、おやつカルパスも
HARIBOも韓国のりも。
もう買わんぞ。
ええい。
どいつもこいつも。
「おめでとう」
どうして素直に
一言こう言えない。
ひねくれ過ぎだろ。
泣かすぞ。
かくなる上は。
気持ちを切り替えて、
是が非でも喜ばねばなるまい。
そう。
もう誰も行方不明じゃ
ないんだから。
よし、今だ。
さあ、喜べ。
やったー。
棒読みだが、
まあいいだろう。