一休み(4) | 35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

【夫】台湾人 × 【妻】日本人

国際結婚? いえ、惑際結婚ですから!

気がつけば2男1女。

あの男を見ていると、とても同じ人類だとは思えない。
漢方薬を水なしで飲めるなんて
一体どんな味覚をしてるんだ、あのおっさんは。

 

 

 

どうやら。

 

次男がクラスメートから

もらってきたらしい。

 

 

 

 

発熱。

喉の痛み。

 

 

 

 

症状は、

まず次男から。

 

 

 

 

学校を休んで

診察した結果。

 

 

 

陽性。

 

 

 

次男より少し遅れて、

私にも同じ症状が。

 

 

診察の結果。

 

 

 

陽性。

 

 

 

次男は39℃近くまで

熱が出たが、頓服のおかげで

2~3日で平熱へ。

 

 

 

私は37℃台の発熱。

 

次男に処方された頓服を

ちゃっかりいただき、

一度の服用で平熱へ。

 

 

二人とも、喉の痛みは

数日後に治まった。

 

 

 

 

 

が。

 

コロナ本番は、

ここからだった。

 

 

 

 

 

 

 

「母ちゃん。俺、匂い分からん」

 

 

 

 

 

おお。

これが噂に聞く。

 

 

 

 

 

 

「食べ物の味も分からん」

 

 

 

 

 

 

コロナの症状か。

 

 

 

 

 

 

 

次男に一日遅れて、

私にもきた。

 

 

 

 

キムチの匂いが

分からないなんて。

 

トイレの消臭スプレーが

鼻の前でも香らないなんて。

 

 

 

生まれて初めての

経験だった。

 

 

 

毎朝食べている果物も、

香るのはほんの僅かで、

楽しめるのは、ほぼ食感のみ。

 

 

 

 

 

 

ああ。

恐ろしい...

 

 

 

 

 

 

「もう戻らんかったら、どうしよう」

 

 

 

 

 

 

 

私は次男の数日後に

受診したのだが。

 

 

この時すでに失われた男に

なっていた次男について、

ドクターに伝えたところ。

 

 

 

 

 

 

「その心配をするのは、まだ早いですよ」

 

 

 

 

 

 

実に軽やかに

窘められた。

 

 

 

 

 

あら。

そうなんですね?

 

 

 

 

 

 

 

「風邪を引いたって、

その症状が出ることはあります」

 

 

 

 

 

 

はい。

覚えはあります。

 

 

 

 

 

 

 

「もし2か月過ぎてもそのままだったら、

後遺症ということで、治療しましょう」

 

 

 

 

 

 

 

症状は1~2週間前後

続いたんだっただろうか。

 

咳もしばらくの間、

出ていた。

 

 

 

 

今現在。

次男も私も。

 

キムチの刺激的な風味も

部屋やトイレの芳香剤も、

きちんと嗅ぎ分けられる。

 

 

先日、次男と食べた

ハンバーガーも、

 

毎朝の果物も

それぞれに甘くて

美味しい。

 

 

 

 

本当に

有難いことだ。

 

 

 

 

 

そして。

 

もうひとつ

とても有難かったのは、

娘は感染しなかったこと。

 

 

我が家でひとりだけ

普段と変わらない

生活を送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

未知の体験、

あるいは。

 

すでに体験済みの

過去由来の恐怖。

 

 

 

 

別名。

取越し苦労。

 

 

 

 

 

恐怖って。

 

事象そのものよりも、

それに取り付かれている

心に宿るような気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

今年4月。

 

次男が

高校生になった。

 

それに伴い、

弁当作りも始まった。

 

 

 

長男が高校を卒業して

以来のことだから、

6年振りか。

 

 


毎日のおかずを考えるだけでも

結構なエネルギーが必要だ。

 

少なくとも、

不器用な私の場合は。

 

 

朝起きるのも

6時前になった。

 

 

 

 

 

まあ。

早い話が。

 

くたびれるわけ。

 

 

 

 

 

次男には悪いが。

 

定期テストが始まって

学校は午前中のみなんて週は、

 

私にしてみれば

パラダイスウィークよ。

 

 

 

 

 

そんな中、

幸か不幸か。

 

体調を崩したお陰で、

堂々かつ大幅大胆に

弁当作りの手を抜く

立派な口実ができたのだ。

 

 

次男も、同時期に同じ症状を

経験しているからか、

よく理解してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

「母ちゃん、いいよ。適当で」

 

 

 

 

 

 

うん。

 

ありがとう。

次男。

 

言われなくても

そうするわ。

 

遠慮はしない。

 

 

 

 

 

おにぎり3つ。

簡単なサンドイッチ。

 

 

 

 

しばらくの間。

 

来る日も来る日も

これを繰り返し

交互に持たせた。

 

 

 

 

 

ああ。

 

楽だった。

楽だった。

 

 

 

 

誠にありがとう

ございました。

 

 

 

 

 

それにしても。

ひとつ引っかかる。

 

 

 

確かに、私は。

 

休みが欲しいと

心から願ったが。

 

 

 

病気になりたいなどと

微塵も願ってはいなかった。

 

 

 

 

 

 

ああ。

 

休みたい。

休みたい。

 

温泉にでも行って

のんびりしたい。

 

 

 

 

 

 

こう願ったはずだ。

 

 

 

その結果が

これなのか。

 

 

 

一体どこに温泉の

要素があったというんだ。

 

 

 

 

 

願いが叶ったのは、

 

 

 

 

「休む」

 

 

 

 

この部分だけ。

 

 

 

 

 

当座、私を休ませるには

こうするより他はなかったってか...?

 

 

 

 

 

なんて気の利かない

星回りなんだろう。

 

 

 

 

第一。

 

乱暴過ぎるだろ。

責任者出てこい。

 

 

 

 

 

 

でも、まあ。

 

お陰様で。

有難いことに。

 

次男も私も、ちゃんと

回復することができた。

 

 

 

 

そして、何より。

 

大切なことに

気づかせてもらった。

 

 

 

 

疲労困憊して

心と体が疲れ果てた頃、

 

現実から逃避するように

温泉を夢見るよりも。

 

 

普段から、

何事もほどほどにと

心得ておく方がいい。

 

時には、逸る心と体を

律してでも。

 

 

 

 

 

きっと。

人は風船と同じ。

 

 

これでもかと詰め込み、

パンパンになるまで

膨らませているうちに、

破裂してしまう。

 

 

大空を優雅に舞う

その前に。

 

 

 

 

適度に丸く丸く。

ふわりふわりと。

 

あっちに揺られ。

こっちに揺られ。

 

高く高く。

太陽に向かって。

 

 

 

無駄を省いて一直線に

舞い上がろうなんて無粋。

 

そんな姿には、

情緒も余裕も感じられない。

 

 

 

 

風に煽られ、

雨に濡れ、

 

お日様に照らされ

色褪せそうになりつつも、

 

流れに逆らわず

のらりくらりと。

 

 

 

 

あちこちに

寄り道している間に、

 

何かが見えてくることも

きっとある。

 

 

 

 

 

 

 

先日、次男から

聞いた話。

 

ある雑誌で、編集者が

書いていたという。

 

 

 

うさぎとかめ

 

 

 

かめが勝ったのは、

ゴールを見ていたから。

 

うさぎが負けたのは、

相手を見ていたから。

 

 

 

 

 

この短い文章。

 

胸に刺さらない大人が

一体何人いるだろう。

 

 

 

 

 

ゴールはある。

きっとある。

 

だからこそ。

 

そこに辿り着くまでに、

惑わされてはいけない。

 

 

 

 

 

 

あわてない

あわてない

 

ひとやすみ

ひとやすみ

 

 

 

 

 

 

 

ああ。

それにつけても。

 

温泉が恋しい。

 

 

 

 

 

 

 

末筆ではございますが、

コロナウイルスに感染した方々、

後遺症の治療をなさっている皆様に

心よりお見舞い申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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