蛇頭? part 2
ピンポーン。
「はいはい。」
エイリアン登場。
「こんにちは。」
さりげなく部屋の奥を覗いてみる。
クローゼットはどこだ...?
「どぞ。どぞ。入って。」
椅子を勧められ、お茶を出された。
「どぞ。どぞ。飲んで。」
何か入ってたらどうしよう...
疑い始めたらきりがない。
「いいえ、結構です。一服盛られたら困りますから。」
なんて言えない。
ええい、ままよ!
飲んでみた。
しばらく経っても痺れは来ない。意識も遠のかない。
誰かが出てくる気配もない...
お茶を飲んでいると、エイリアンが淡々と言った。
「あのねー。この後、5時にお客さん来るよ。だから、それまでに帰ってね。」
「帰れ」って言った?「帰れると思うなよ。」じゃなくて?
ああ、助かった!
それともフェイントなのか...?
まだ油断はできない。
お茶の後、エイリアンが治療をしてくれた。
この間、どこかに隠しカメラでもないかこっそりうかがった。
でも、たとえあったとしても、わからないように設置するから
隠しカメラと呼ばれているのを知らんのか。
おまえは阿呆だ、阿呆。
「気が弱いねー。」
別に臆病だと言われたわけではない。東洋医学でいうところの虚証だ。
体内を流れる “気” つまりエネルギーが不足している、あるいは弱いという意味だ。
夕方5時前。
どうやら生きて帰れそうな感じ。
電話を借りて姉に電話した。
もちろん、エイリアンに聞こえないように小声でこっそり話した。
「おっさんがマフィアだったら困るから、警察に連絡する手はずを
整えておいたんだけど、大丈夫そうだから今解除してるわけ。」
お茶をご馳走になって、治療までしてもらった挙句に
こんなこと言えるわけない。
この後、料理までごちそうになった。
大豆の煮込み。
人にご馳走するには微妙なメニューだけど、ちゃんと人間仕様じゃないの。
この頃にはもう、一服盛られるとは思わなくなっていた。
この日以降、エイリアンの治療院に通い始めた。
ある時、治療後の私の背中を見た姉が言った。
「すごい!コリのあるところにだけ治療の跡がある!」
当時、肩こりと腰痛持ちだった私をたまにマッサージしてくれていた姉は、
私がこっていると訴えていた部位をよく知っていた。
だが、これをエイリアンに伝えたことはない。
あのおっさん。もしかしてすごい人なんじゃ...?
それからしばらく経った後、エイリアンに弟子入りした。
でも、まさか父親より年上の地球外生命体と入籍まですることになるとは...
ところで。
治療院に通ってた頃に、エイリアンが出してくれた料理。
・茹でただけのパプリカ赤・黄色
・石づきがついたままの、エノキの丸ごと姿茹で
・木綿豆腐そのまま
見る限りまるで何かのエサだ。
とても料理とは呼べない。
でもこの頃は、まだ師匠関係しかなかった。
だから、絶対にツッコミを入れるわけにないかなかったのだ。
今なら間違いなくこう言う。
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