今でも目覚まし時計を見ると、エイリアンが宿のおねえさんに言い放った
あのフレーズが浮かぶことがある。きっとトラウマなのだろう。
怒りと恥ずかしさで体が硬直しながらも、何とか正気を保つ。
いざ、お部屋へ!
階段を上りながら心臓がバクバク。
階段の壁には真っ赤な
STOP AIDS
のポスターが。
「そうゆうお宿」に来た実感が、ここで思い切り湧いた。
部屋のドアの前に立つ。
ああドキドキ!
さあ、ドアを開けてお部屋を拝見...
キングサイズなのか、厚揚げの化け物のような
妖怪ぬりかべがひっくり返ったような
大きなマットレスが、床の上、直にデーンと横たわっている。
「おお!これが連れ込み宿のお部屋なのね!」
何だこの感動は。でも、同時に妙な後ろめたさも感じる。
かと言って、私は宿の人を相手に血迷いごとは吐かないが。
何だろう、少しだけ大人になったような気がした。
もう12時近かったと思う。疲れていたし、外は寒かった。
早くお風呂入って寝よう。
そう思って、バスルームのドアを開けた。
何?えらい広いじゃないの。
洗い場もバスタブも、ゆうに二人で使える広さだ。
「おお!これが連れ込み宿のお風呂なのね!!」
何だこの感動は。もう後ろめたさなんて微塵もない。
普通、ホテルのお風呂は狭くて一人がやっと。
ちょっと...
クセになったらどうしよう。
入浴後、さっさと寝た。
宿のおねえさんに告げた通り、翌朝は早いのだ。
ほれ。そこのあなた。何か想像してます?
それはゲスの勘ぐり、ズベ公の勘ぐりというのもですよ?
それにしても、連れ込み宿を利用することに関する
あの妙な後ろめたさ。
他の客と鉢合わせしないで良かった。
と、ついこう思ってしまう、言われのない罪悪感チックな感情。
これを何とかできないものか。
もしかしたら「連れ込み宿」と呼ぶのがいけないのかも。
何か新しい呼称が必要だ。
私たちが泊まったお宿は古い感じで、ホテルと呼ぶには無理があった。
うーん...
「ラブ宿」...?
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