「この世で一番ロマンチックなもの」 part 1 | 35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

【夫】台湾人 × 【妻】日本人

国際結婚? いえ、惑際結婚ですから!

気がつけば2男1女。

あの男を見ていると、とても同じ人類だとは思えない。
漢方薬を水なしで飲めるなんて
一体どんな味覚をしてるんだ、あのおっさんは。

もしも心がすべてなら いとしいお金は何になる



寺山修司の『青女論 さかさま恋愛講座』

第十一章 おかね



この章は、この言葉で幕を開ける。



寺山修司が歌舞伎町のホステスと話したときのこと。


彼女はある男との同棲を終えた。
その時、男からお金をもらった。


別れるときにお金をもらったおかげで、今も一人だと言う。
一人でいると、きっと彼が戻って来てくれるような気がする、とも言う。


話の終わりに、酔ってトロンとした目で彼女がこう言う。




「この世にお金ほどロマンチックなものはないわね。」




この一行。
当時、大学生だった私には超特大爆弾級の衝撃だった。



お金がロマンチック...?
何をどう考えたらそんな結論が出るんだろう。




不謹慎なことを言う女だな。




この時の私は、こう思った。





幼い頃。
何かのテレビ番組を観ていた私は、鑑賞後、半ば冗談、半ば本気でこう言った。




「お金って、悪いことしないと、たくさん稼げないんだね。」



隣りにいた両親は、ただ黙っていた。
否定も肯定もしなかった。

聞こえていたことは、その困ったような表情からして間違いなかった。

私は両親の沈黙を、



「残念だけど、その通りだ。」



という意味なのだと解釈した。



商売をしていた両親は、きっと子供には言えないような
様々な経験をしてきたのだろう。



その後、成人までの過程で、私はお金を汚いものだとか、悪いものだとか、
そんな風には考えてこなかった。

だって、造幣局で刷られてくる福沢諭吉に、良いも悪いもあるのか?
キレイも汚いもあるのか?

それは、あくまで扱う人間と用途の問題だと思ってきた。





生きていくための手段。

生活していくための綱渡りのロープで、
何とか落下しない程度の太さがあれば、良しとしなければならないもの。

有り余るほど手にするなんてことは、まずないだろう。
ただ、たくさん持つことに対する憧れだけはいつでもある。

私にとって、お金とはこんな感じのものだった。


そんな風に成人した私が出会ったのが、上の一文だったのだ。
俄かには信じられない言葉と概念だった。


色んなことを我慢して、色んなことに妥協して、
時には歯を食いしばってやっと稼げる代物。

使うときだって、節約が最優先で、
質よりもまず価格を基準としなければならないもの。


私にとって、それがお金というものだった。


それがロマンチック?なんで?どこが?


一体、この世の中に、嫉妬を除いて、
おゼゼ以上に現実的で生々しいものが他にあるだろうか。

でも、心のどこかで彼女の言葉がずっと引っかかっていた。

だから20年近く経った今でも、あの短い一文が脳に張り付いたままなのだ。
決して離れることはなかった。



そうだ。
私は彼女のお金に対する考え方に、ずっと憧れていたのだ。
羨ましかったのだ。

自分も心底こう思って生きてみたい、と。
だから、いつまでも忘れられなかった。



私は、堂々と、滔々と、お金の素晴らしさを実体験から語ってみたかったのだ。







◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 応援してくださってるあなた!
ドキドキドキドキ いつもありがとう!! ドキドキドキドキ

 にほんブログ村 家族ブログ 国際結婚夫婦(台湾・香港・中国人)へ