「エイリアン、ペチンがわからない」の巻 | 35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

【夫】台湾人 × 【妻】日本人

国際結婚? いえ、惑際結婚ですから!

気がつけば2男1女。

あの男を見ていると、とても同じ人類だとは思えない。
漢方薬を水なしで飲めるなんて
一体どんな味覚をしてるんだ、あのおっさんは。

エイリアンは私と東京で出逢った時点で、
すでに在日何十年だったから、日本語の読み書き会話には困らなかった。


でも本人曰く、 



「日本語はむずかしよー」



とのこと。



あれは、一緒に暮らし始めてまだ間もない頃。

お昼ご飯を食べているとき。




「....................」

「....................」





会話が途切れて無言の状態がしばらく続いていた。
手持無沙汰に感じた私は、何気なくチラッとエイリアンの方を見た。

黙々とご飯を食べているエイリアン。
いつものことだが、おでこの辺りが涼しげだ。

早い話が禿げている。


へへへへへへへ。


心の中でほくそ笑みながら、その淡く光る部分を軽くはたいてみた。




「ペチーン!」



と言いながら。

すると軽い感じのいい音が鳴った。
思った通り、いい音がするじゃないか。
こりゃ面白い。はははははは。



ところが次の瞬間。
エイリアンのご飯を食べる動きがピタッと止まった。

箸とお茶碗を持つ手が空中で固まった。
同時に表情も。



あら。もしかして...?



そう思うほど、エイリアンの顔は険しかった。


ところがこう言った。表情はいたって真剣だ。 




「え?ペチンと言うと?ペチンは何? 
わたし、ペチンと言う日本語わからない!」





そこかい。


何のことはない。

表情が固まったのは「ペチン」という言葉に覚えがないか、
必死で記憶を辿っていたからだった。

はたかれて軽い音がしたことは、気にならなかったらしい。

私は思わず大笑いした。





他にも色々あった。




「あれ、これどうしよ。タヨレよー。タヨレ。拭かないといけないよー。」



長男が生まれて間もない頃。
長男と一緒にいたエイリアンが、大きな声でこう言った。

何、タヨレって?何がどうした?
慌てて長男のそばに行ってみた。


ヨダレのことだった。 





「ああそれね。それはチッキンにあるよー」



どうやらキッチンのことらしかった。 

何も無理して洋風に言うことはない。誰も期待してない。
台所って言えば?

今でもこう言うことがある。
やめろ。可笑しいだろ。





「ねえ、ななごーさん、どうする? ななごーさん。」



全く意味不明。暗号? 
話をよく聞いてみて、やっと納得。 
七五三のことだった。



一風どころか、念には念を入れて幾重にも変わったこの男。

私が驚いたのは、エイリアンがプリンを知らなかったことだ。
いや、もしかしたらプリンの存在は知っていたのかもしれないが、
少なくともプリンという名称は知らなかった。


私が食べているのを見て、



「ね、それ何?何という食べ物?」



真顔でこう訊いた。



そう言えば、地下鉄サリン事件も人に聞かされるまで
発生から数日間、全く知らなかったそうで。
事件発生当時、新宿・高島屋の目と鼻の先に住んでいたのにも関わらずだ。

ああそうそう。
ディズニーランドがどこにあるのかも知らなかった。


本当に怪しい男だな。仙人なら山にでも行け。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 応援してくださってるあなた!
ドキドキドキドキ いつもありがとう!! ドキドキドキドキ

 にほんブログ村 家族ブログ 国際結婚夫婦(台湾・香港・中国人)へ