エイリアンと一緒に、お昼ご飯を食べていた時のこと。
おかずは何だったか忘れてしまった。
きっと、あの衝撃のせいだろう。
ご飯中、エイリアンがおもむろに冷蔵庫から
乳酸系のフルーツミックスジュースを出してきた
ああ。飲むんだな。
そう思った。
ところが。
次の瞬間、信じられない光景が。
この男。
そのジュースをご飯にかけて食べ始めた。
おいこら。やめんかい!
なんでだ。どうしてそれをご飯にかけるんだ。
別々でいいだろ、別々で。
思ったままを訊いてみた。
「へえ?別にかまわないよー。」
そりゃあんたはそうだろうよ。
この味覚と食べ合わせの感性。とてもこの世のものとは思えない。
一体なんなんだ、それは。残飯ごっこか?
「ああもう、やめて!おかしいでしょ!どんな味がすんの?まずくないの?」
「悪くもないよー。」
訊いた私がバカだった。
一体どこまで浮世離れすれば気が済む。
「お願いだからやめて! 目の前で見てると嫌でも味を想像しちゃうから!
気持ち悪くなっちゃう!」
妊娠中だった私は心の底から嘆願した。
ツワリを誘発するつもりか。このおっさんは。
こうやってご飯を食べる男のために料理をするなんてのは、
もしかして無駄なんじゃないだろうか。
美味しいかどうかとか、味付けがどうとか、
そんなことは無意味なんじゃ...
エイリアン×ミックスジュースご飯を目の当たりにして、
本気でこう思うほど脱力した。
あれ以来、エイリアンがジュースをご飯にかけて食べるところは見ていない。
私があまりに怒ったからだろう。
もしかして、私がいないところで食べてるのかもしれないが。
昔のを人は、食べ終わったご飯茶碗にお茶やお湯をかけ、
茶碗にくっついたご飯粒をふやかして飲み、
最後までご飯粒を無駄にしなかったという。
エイリアンがそうしているのをよく見る。
これは素晴らしい。私はそう思う。
息子にも伝えてほしいと思っている。
戦中戦後の台湾を生き抜いてきた人。
“もったいない”という言葉の意味を
これでもかというほど知っている世代なのだ。
でも。
食べかけのご飯に乳酸系フルーツミックスジュースをかけて食べる姿。
これだけは息子達に見習ってもらうどころか、絶対に見せたくない。
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