5通目「31センチ髪を切りました。」 | 絵本の里けんぶちからの手紙

絵本の里けんぶちからの手紙

地元紙「北都新聞」さんに寄稿しています。
(2020年10月~
その中から定期的に発信していきます。

朝晩吹く風が肌寒く感じるようになりました。

みなさんお元気ですか?

 

この夏、約20年振りに髪を肩まで切りました。

以前入院していた時、

看護師さんが、「髪の毛を寄付するヘアドネーションを知っていますか?

長くてきれいな髪の毛なのできっと喜ばれますよ。」と

話してくれました。

 

話しを聞いてからわたしの髪が誰かの役に立てるのならと

思っていましたが、

ようやく寄付をすることができました。

 

機会を逃していたのは、

ヘアドネーションをしてくれる美容室を

探していたからです。

町内の美容室で偶然そのことを話したところ

対応できるとのことでお願いし髪を切る日が来ました。

 

長さを測ってから3束ほどに髪を分け、

それぞれ束ねてから1束ずつ丁寧に切っていきます。

最後の1束を切る時に

「自分で切ってみますか?」と聞かれました。

 

その時にお相撲さんの断髪式みたいだなと思ったことと

また、髪を伸ばせば良いという気持ちが湧いてきたので

最後のカットもお任せし

ヘアドネーション協会に送付してもらいました。

 

 

このことを投稿しようと考えていた矢先

もし今会うことができたなら

その女の子は、

どんな素敵な女性になっていただろうと想像した子がいます。

 

それは、小学校5年生の夏休みに入院した病室で出会った

たしか小学校1年生だった女の子です。

 

会った時にすでに髪の毛が短かったことがなんとも言えず

頭に包帯も巻いていました。

脳腫瘍ができてしまいつらそうにしていたことが今も浮かびます。

 

お医者さんと看護師さんが頻繁に様子を見に来ていたことも

重い病気であることを感じ取りました。

 

明るい笑顔と人懐っこい性格でかわいい妹のような存在でした。

元気な時は、おしゃべりをしたり、折り紙をして遊んだように記憶しています。

 

わたしは、先に退院し1週間後の通院日に病室を訪ねると

その直前に息を引き取ったばかりでした。

命の重さを知ることとなった大きな出来事の一つです。

 

1人のウイッグを作るためには、

30人分の31センチ以上の長さが必要になるそうです。

 

わたしの髪の毛が、どなたかの笑顔や喜びにつながることを

心から願っております。

 

<2021年9月19日掲載(24通目)加筆修正済>