以前に癌になりやすい気質の人、そして癌によく使われるレメディをご紹介しました。(詳しはこちらブログ
)今回は癌を促進・抑制する食事内容について数回にわたり書いていきます。
癌にはInitiation(初期始動)、Promotion(成長)、Progession(増殖)という3つの段階があります。これは芝生の成長過程とよく似ています。まず種を植えられた状態がInitiation、そしてその種が大きく成長するときがPromotion、最後に周辺のいたるところまでに増えてどうにも成長を止められなくなるのがProgressionです。
まず「始動段階」では、発がん物質が体内に取り込まれ、DNAと結びついて細胞分裂によって娘細胞が形成されればそれで完了です。よって非常に短期間で形成されるため、時には数分で行われることもあります。そして、種が発芽して芝生は大きく成長し始めます。このPromotionの段階でいかに「癌が成長しにくい環境」を作ってやるか、が癌を防ぐ最も重要なポイントになります。生き物の成長過程には必ずよい環境と栄養状態が関係しますよね?それはこの癌という細胞にも言えることなのです。そこで、この大切な「環境づくり」に大きく貢献するのが栄養、つまり食事になるわけです。
そもそも発がん物質とは何でしょう
これまでに発見されている代表的なものに下記のものがあります。
アミノトリアゾール(除草剤/主にクランベリーの栽培に使われる)
DDT(殺虫剤)
亜硝酸塩(肉製品の着色や保存料として使われる)
赤色2(着色料)
人口甘味料(シクラメートやサッカリン)
ダイオキシン
ベトナム戦争でアメリカが枯葉作戦として使った猛毒物質。ベトナムではこのダイオキシンにより多くの自然や人が汚染され、今でもその後遺症に苦しむ人がたくさんいます)
アフラトキシン(ピーナッツやコーンに生ずるカビ毒)
しかし人間の体というのは本当に良くできていて、これらの物質をきちんと代謝する仕組みをもっています。その役目を引き受けるのが、Mixed Function Oxidase (MFO/混合機能オキシターゼ)と呼ばれる代謝酵素です。しかしこの酵素は非常に複雑で、医薬品などの化学物質や、あいにくにもそのほか良し悪し関係なくさまざまなものに働いてしまうのです。
では、発がん物質とDNAが結びくような働きをしてしまう条件は何なのでしょう?
それは、なんと「たんぱく質の摂取量」を調整することなのです。
ではこの「たんぱく質の摂取量」が、いかに次の「成長段階」に影響されてくるのでしょうか?ここで健康と栄養に関するある研究結果をご紹介します。(あくまで動物実験ですので、これが必ずしも人体と同じように影響するとは限りませんのでご了承ください)
高濃度のアフラトキシンを与えたマウス
たんぱく質を5%含む食事を与えました
低濃度のアフラトキシンを与えたマウス
たんぱく質を20%含む食事を与えました
常識から考えて、高濃度のアフラトキシンを与えられたマウスのほうが発ガン性は高くなるはずですね。結果はその逆でした。なんと、低濃度のアフラトキシンを与えられたマウスのほうが癌病巣が多く形成されていました。
そこでこの研究チームはさらに次のような実験をしました。
12週間のPromotion期間を4つにわけ、3週間ごとにマウスの食事を以下のようにコントロールしました。
次の3週間、5%のたんぱく質を与える
最後の3週間、また20%のたんぱく質を与える
結果は驚愕するものでした。
最初の6週間、癌はどんどん大きくなり続けましたが、5%たんぱく質の食事に切り替えてからはみるみるうちに癌病巣が縮小・減少したのです。そして最後にまた20%たんぱく質の食事に戻してみると、またその成長が急激に始まったのです。
この2つの結果から言えることは、
初期段階の発がん物質量は関係なく、その次の成長段階で
いかにたんぱく質の量を調整するかが癌を防ぐ方法につながる
ということです。
たんぱく質は大きく2つの種類に分けられます。動物タンパクと植物タンパクです。この実験で使われたのは牛乳の87%を占めるカゼインという動物タンパクです。では植物タンパクも同じように癌を促進してしまうのでしょうか?これは次回のブログで書いていきます。
ここで書いた実験や結果は、栄養学のアインシュタインと呼ばれているT・コリン・キャンベル氏がチームと行った研究によるものです。彼は、健康と栄養に関する研究の中で最高峰とされる「チャイナ・プロジェクト」に関わっていました。次章で彼の本をご紹介しますね。