中国脅威論の克服に向けて一
東アジアでの戦争を止めるために
「中国脅威論」を理由に進む日米の戦争態勢
本当に「中国は攻撃して来る」のだろうか?
いま政府は、「中国の脅威」を理由に、防衛のためとして、奄美・沖縄を中心に中国への軍事態勢を急ピッチで構築しています。
このことは、もし中国が攻めて来る可能性がなけれは、このような軍事態勢は必要ないということを意味します。
結論を先に言えば、今の中国には日本を攻撃してくる理由は全くなく、いま、中国がそのような態勢をとっているわけでもありません。
逆に、日米が中国への攻撃・戦争態勢を構築しているのが現実であり、それこそが「東アジアでの戦争の危機」をつくり出しています。
なぜ、そう言えるのか、これから語っていきたいと思います。
もちろん、国民は戦争を望みませんよ。(国民を戦争に参加させるには)国民に向かって、われわれは攻撃されかかっているのだと煽り、平和主義者に対しては、愛国心がけているし、国を危険にさらしていると非難すればよいのです。このやり方はどんな国でも有効ですよ。(ゲーリング/ナチス最高幹部)
中国への攻撃拠点
戦場にされる沖縄
琉球弧に建設された
「中国への攻撃ミサイル基地」
この数年の間に、奄美から八重山まで、次々と自衛隊(日本軍)
ミサイル基地が建設されました。
さらに、九州・湯布院にもミサイル連隊が新たに配備される予定です。中国大陸を包囲するように配備されたミサイルは、防衛用ではなく、中国軍に対する攻撃用のミサイルです。
中国軍を攻撃するための
「日米共同作戦計画」
中国軍を攻撃する「日米共同作戦計画』が両国間で策定・承認され、すでに、それに基づく戦闘訓練も行われていることをご存知でしょうか。
それは、琉球弧の約40の島々に攻撃拠点を設置し、米日の軍隊が中国艦船を攻撃した後、反撃から軍を守るため別の島に移動してまた攻撃を繰り返す作戦です。つまり、米日軍が去った後、住民が残る島に中国軍の反撃ミサイルが飛んで来ることを一奄美・沖縄の人びとの命の犠牲を、然の前提とする『作戦』です。
中国のすぐそばが米中の軍事対峙線
そうして、中国軍を無力化して、中国を海上封鎖しようとするものです。
つまり日米は、下の地図にある、琉球弧の島々が連なる「第1列島線」を、中国との軍事対峙線としています。
「米中対立」と言われながら、その「軍事対峙線」は、米国の近くでも、太平洋の真ん中でもなく、中国のすぐそばの、中国の「防衛ライン」と言えるところなのです。このことからも、中国が日本を攻撃しようとしているのではなく、日米が琉球第2列島線弧の島々を拠点にして中国を攻撃する態勢を構築していることがわかると思います。
アメリカの対中姿勢の転換
米国は2010年代の半ばころから、世界における支配的地位を中国に奪われるのではないかとの不安感・危機感を持ち始め、中国を押さえつけるための軍事的・経済的・外交的「封じ込め」体制の構築を始めました。
米国は、2017年の『国家安全保障戦略報告』で、「中国とロシアは、アメリカの力、影響力及び利益に対抗している」と批判し、「支配力を得るためには、米国の軍事的強さは、これまでも、これからも不可欠な要素である/米国は、勝ち続けなければならない」としました。
ちなみに、世界に対する一極支配・専制を目指す米国の姿勢は、冷戦終結後から継続されているものです。1992年に作成された政府文書には、次のように記されています。
ソ連崩壊後の国際社会において、アメリカに対抗できる能力をもつ大国が出現することを許さない。西欧、東欧、中近東、旧ソ連圏、東アジア、南西アジアの諸地域において、アメリカ以外の国がこれらの地域の覇権を握る事態を阻止する。
(米国防総省戦略文音『1994年~1999年のための国防プラン・ガイダンス』)
日米NATOによる
「対中国軍事包囲網」の構築
中国の近海で軍事演習を続ける日米NATO
この間、日米NATOの軍隊が「中国の近く」で、しきりに合同軍事演習を繰り広げています。これらの国々は、1840年代から1940年代の100年に及ぶ時期のいずれかに、あるいは継続的に、中国への侵略を行って来た帝国主義列強と呼ばれた諸国です。「中国の脅威」が言われますが、相手国に「脅威」を与える軍事演習は、中国軍がアメリカ西海岸近くで行っているのではなく、日米欧らの軍隊が中国の近くで行っているのです。
報道されない米日らの「挑発」
たとえば、2021年10月初旬、台湾の「防空識別圏」への中国軍機の侵入を非難する報道がしきりに流されました。実はこの時、日米英ら六か国海軍による合同軍事演習が中国の近くで行われていました。(上写真)
しかし、日米らの演習はほとんど報道されず、中国軍機の行動だけが報じられました。以下に、この時に書かれた琉球新報と朝日新聞の社説を紹介します。日米らの演習に対応して中国軍機が活動したという事実関係を正確に記している琉球新報に対して、朝日新聞は、中国軍機が一方的に「挑発」していると記しています。このようにして、ヤマト(「本土」)での「中国脅威論」ができ上がっていきます。
<琉球新報社説>
日米英空母訓練
南西海域の緊張高めるな
(2021年10月7日)
・沖縄周辺の海と空で、臨戦態勢と言えるほどの軍事行動が繰り広げられている。
日米英をはじめ6カ国は2~3日、沖縄の南西海域で空母3が出動する共同訓練を実施。訓練に対抗して中国は1~4日の
4日間で149機もの中国軍機を、台湾の防空識別圏に進入させた。
<朝日新聞社説>
台湾海峡 危うい挑発を憂慮する
(2021年10月7日)
・中国軍が戦闘機などの動きを活発化させている。台湾に近い空域にまで多くの軍用機を進入させ、不安を高めている。〔略]自らの政治的な主張が通らないから、武力で威圧しようとするのは乱暴に過ぎる。
「台湾有事」って何?
中国が起こす「台湾有事」はあり得ない
ーその理由と根拠一
中国政府の最重要課題は経済発展
この約30年間の中国共産党による一党統治「安定化」の理由は、急速に進んだ経済発展でした。それは、海外各国との輸出入はじめ世界経済システムへの参与によるものでした。仮に中国が台湾への武力行使を行ったら、海外との経済関係にヒビが入り、経済繁栄の「前提」が崩れてしまいます。
台湾への武力行使は一党統治の危機を招く
また、仮に、武力を使う形で台湾の統一に成功したとしても、それを望む人が少数になっている台湾では、以後、統一に反対する強い動きが継続し、国内に大きな「不安定要因」を抱えることになります。
このように、「武力統一」が一党統治の危機につながることは容易に想像できるので、共産党首脳部がそのような「愚行」に出ることは想定し難いのです。
「台湾有事」は「日本有事」ではない
仮にですが、もし中国が台湾への武力行動に出るようなことがあった場合、日本(あるいは在日米軍基地)を攻撃したりするでしょうか。それを行ったら、日米との戦争に突入することになり、肝心の「台湾統一」はむしろ遠のいてしまう事態になるのですから、これもあり得ない話です。
「反中国」構築手段
としての「人権・民主主義」
人権を名分に「中国包囲網」を構築する米国
米国による、人権・民主主義の名による中国非難は、中国をおとしめ、「反中国」の包囲網を築くことが目的で、「人権」等はその手段に過ぎません。
ウイグルなどの問題で米政府が「人権」を掲げて声高な批判を大々的に始めた時期と、米国が対中戦略を転換し軍事包囲網の構築を始めた時期は重なっています。
人権を名分に「反中国」を実行する日本
日本国内で、人権や民主主義に反する憲法に改めようと必死になっている政党・団体らが、中国に関することになると、人権や民主主義を持ち出して中国を非難し始めます。その目的も、実際は、「反中国」の実行なのです。
主観的「中国脅威論」から脱し、<平和と共生の東アジア>を!
中国は、日本や欧米諸国が行って来たような他国への軍事侵略・植民地支配によって経済大国になったのではありません。米欧日は、軍事侵略によって自国の利益を追求する方法をいまなお続けていますが(対アフガニスタン・イラク・リビアなど)、中国は行っていません。
私たちは歴史と事実を冷静に客観的に見つめることによって、主観的「中国脅威論」から脱しなければなりません。
そして、「脅威論」に基づく「中国攻撃態勢」推進を阻止し、<平和と共生の東アジア>をこそ構築しなければならないと思います。
日米の「対中国戦争態勢」とは何か
参考図書
『日米の「対中国戦争態勢」とは何か一東アジアでの戦争を止めるためにー』著者・高井弘之(当
会会員)/2023年6月1日発行/第四企画
河野太郎の親族の会社が中国製ソーラーパネルで暴利をむさぼり、中国を肥えさせております😤