今週月曜日は有休をいただき、日曜から一泊二日で天橋立へ行ってきました。

朝8時前に品川から新幹線で出発し、京都駅で特急に乗り換え、天橋立に到着したのは12時半でした。

休む間もなく、まずは天橋立ビューランドへ。
モノレール(ゴンドラのような感じ)で頂上まで登ると、眼下には壮大な風景が広がります。
日曜は天気もよく、素晴らしい景色が堪能できました。

お昼は美加茂さんで海鮮ちらしをいただきました。雲丹までのっていて贅沢な一品。美味しかったです。

お腹いっぱいになったあとは天橋立を対岸まで徒歩で散策。
1時間ほどかかりましたが、砂浜や松並木の壮麗さは流石日本三景。
対岸に渡り、傘松公園の頂上に登って反対側からの天橋立も鑑賞できました。時間の関係で成合寺には行けなかったので、また来たときにはぜひ足を運びたいと思います。

帰りは遊覧船で戻りましたが、船からの景色もまた違った趣があり、夕暮れの情景に心を奪われました。

宿は文珠荘へお世話になりました。
奮発して特別室に宿泊しましたが、部屋も料理も素晴らしく、高くてもまた泊まりたいと思わせてくれる宿でした。温泉も気持ち良かったし、仲居さんの接客もとても感じが良かったです。


休日で観光客もそれなりに来ていましたが、それでも十分静かな町で心が休まりました。
遠かったですが特に疲れも感じず、心身ともに癒されました。
今度は違う季節に訪れてみたいと思います。
クラシックを聴き始めておよそ10年になりますが、ついに世界最高と名高いオーケストラを聴く日がやってきました。
ミューザ川崎の海外オーケストラウィーク最終日です。


☆サイモン・ラトル/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団@ミューザ川崎シンフォニーホール
・シューマン:交響曲第1番 変ロ長調 op.38 《春》
・プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ニ長調 op.19(Vn.樫本大進)
・ストラヴィンスキー:バレエ音楽《春の祭典》


…いやはや、やはり噂に違わぬスーパー・オーケストラでした。

シューマンは近年ラトル/ベルリン・フィルが集中的に取り組んでいる作曲家。
冒頭のトランペットの調べからぐいっと惹きこまれます。こんなに柔らかく響くものなのか…。内声部が旋律に埋もれることなく、くっきりと描かれ、鮮烈で新しいシューマンが感じられました。ラトルの指揮は曖昧模糊としたところがなく、シャープで洗練されたアプローチでした。時折オケをドライヴさせて緩急をつけていましたが、このオケの馬力の高さには驚嘆させられます。

休憩を挟んでコンマス・樫本大進によるプロコフィエフの協奏曲。
樫本大進のヴァイオリンは力強くも儚く繊細で、雪の結晶のように美しかったです。オケの伴奏もブリリアントな透き通った音色で、幻想的なプロコフィエフの世界を堪能できました。ラトルはこういう近代的な曲は伴奏でも素晴らしいです。2番ほどメロディックではないですが、ベルリン・フィルの美音にかかればどんな曲でも聴き惚れてしまいます。
協奏曲ではソリストのアンコールがあることがほとんどですが、時間の都合なのか珍しく今回はありませんでした。

樫本大進が1stヴァイオリンの一番後ろの席に座ってメインの《春の祭典》。
このコンビでこの曲ならまず間違いないだろうとは思っていましたが、想像を遥かに超える圧倒的な演奏でした。冒頭のファゴットは極端に小さく、極端に遅いテンポで奏でられます。上手すぎる…。エスクラも大音響の中に埋もれることなく傑出し、強烈な印象を残しました。
全セクションが一体となって音の洪水を創り上げるのですが、それでも混濁することはなく、しっかりとすべての音が有機的に響き合います。ラトルの鋭角的で立体的な音楽創りも奏功し、複雑な構成のこの曲も明解に奏でられました。フックスやパユは今日のプログラムでは降り番だったので彼らの音が聴けなかったのは残念でしたが、やはり名手揃いのベルリン・フィルには素晴らしい奏者がたくさんいるということを再認識できました。
大喝采のあとはラトルの一般参賀。日本語でお礼を述べた後、英語で「ミューザ川崎は世界最高のホールです」と告げてさらに喝采を浴びていました。


これで怒涛の世界3大オケの演奏会ラッシュが終わりました。
今日のベルリン・フィルには近代建築のような人工美の極致、先日のコンセルトヘボウには職人が手作りで丹念に創り上げた高級骨董品のような美しさを感じました。あくまで今回の一連の来日公演での個人的な感想ですが、この2つのオケと比べてしまうと残念ながらウィーン・フィルはやや格落ちの感が否めませんでした。もちろん本拠地でのパフォーマンスはもっと素晴らしいものだとは思いますが。

一休みして月末はヤルヴィ/ドイツ・カンマー・フィルの《フィデリオ》。
予習しなければ。
今日も仕事を定時で切り上げ、上野へ。
コンセルトヘボウの2日目です。


☆マリス・ヤンソンス/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団@東京文化会館
・ワーヘナール:序曲《じゃじゃ馬ならし》 op.25
・ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》組曲(1919年版)
・チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 op.64
・チャイコフスキー:バレエ音楽《眠りの森の美女》からパノラマ(アンコール)


今日は4階センターの席だったので見えなかったのですが、どうやら皇室の方がご臨席していたようで、ヤンソンスもオケのメンバーも開演前に一礼していました。

幕開けはオランダの後期ロマン派の作曲家、ワーヘナールの作品。どこかロッシーニのような軽妙なイタリア・オペラの序曲を彷彿とさせる曲調。弦と管の活発なやり取りが面白い作品でした。こういう決してメジャーじゃない作品を来日公演で取り上げてくれるのは嬉しいですね。
2曲目は《火の鳥》組曲。序奏は低音の不気味さが夜の情景をよく表していて、火の鳥とその踊り、ヴァリエイションでは木管の妙技が炸裂。乙女たちのロンドはオーボエ中心の艶やかな音楽でしたが、一方でどこか切なさも感じさせます。カスチェイの踊りでは金管が爆発しますが、爆発しても決して乱暴にならず、端正な響きを保ち続けるのはさすがコンセルトヘボウ。子守唄のファゴット、終曲のホルンは本当にブラボー!特にホルンはやや抑え気味のくすんだ音色で華やかさはあまりないのですが、抜群の安定感で心が洗われました。

チャイコフスキーの5番は4年前にヤンソンス/バイエルン放送響で聴いて以来の実演。正直あまり好きな曲ではないのですが、このコンビの美音で聴けばそんな苦手意識も払拭されてしまいます。各セクションが有機的に響き合い、よく歌いこまれたスケールの大きな演奏。個人の能力が高いだけでなく、常に一つのオケとしての確固たる響きを保っていられるというのは、オーケストラの理想形だと思います。どの楽器も素晴らしかったですが、クラ、ファゴット、ホルンが特に素敵でした。アンコールは同じくチャイコフスキーで《眠りの森の美女》のパノラマ。


個人的な見解ですが、ヤンソンスの音楽づくりはどことなくカラヤンに通ずるものがあるように感じます。息の長いフレージング、しっかりと定まった音楽のディレクション、緩徐楽章の甘美な歌わせ方など、流麗で壮大な音楽はこの2人の特徴な気がします。まぁヤンソンスは実際カラヤンに師事していたのだから、似ていて当然っちゃ当然なのですが。

響きが豊かなミューザ川崎と違って東京文化会館は音響がデッドなホールですが、そのおかげで昨日とはまた趣が異なるコンセルトヘボウの手触りの美音が聴けました。やはりこのオケは最高です。
ミューザ川崎の海外オーケストラウィークの2日目はロイヤル・コンセルトヘボウ。
聴くのは3年前のマラ3以来ですが、このコンビは2004年にベト2&《英雄の生涯》、2008年にドヴォ8&《イタリア》&《ラ・ヴァルス》、ブラ3&《展覧会の絵》、2009年にドヴォルザークのレクイエムを聴いています。クラシックを聴き始めてまだ10年ほどですが、今も昔も世界で一番好きなコンビですね。


☆マリス・ヤンソンス/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団@ミューザ川崎シンフォニーホール
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 op.37(Pf.エマニュエル・アックス)
・ショパン:ワルツ イ短調 op.34-2(遺作)(アンコール)
・ショパン:マズルカ op.30-2(アンコール)
・R.シュトラウス:交響詩《英雄の生涯》 op.40
・グリーグ:劇音楽《ペール・ギュント》第2組曲 op.55より「ソルヴェイグの歌」(アンコール)


いや、本当に素晴らしい一夜でした。
今夜の演奏には称賛の言葉がなかなか思いつきません。

前半はポーランドの偉大なピアニスト、エマニュエル・アックスを迎えてのベートーヴェン。
アックスはCDも実演も聴くのは初めてですが、実はヤンソンスの伴奏を実演で聴くのも初めてでした。2006年の内田光子、2010年のギル・シャハムはチケット取れなかった…。
第1楽章冒頭からオケは重厚な伴奏。それでも透明感があり、オケ全体の音がしっかりブレンドしていて、まるで一つの巨大な楽器が鳴っているかのよう。それでも各楽器がしっかりと存在感を発揮しているのはまさに名人芸の領域。ヤンソンスのバランス感覚、オケメンバーのインテリジェンスと技術の高さがひしひしと伝わります。
アックスの独奏は天真爛漫で優雅な音楽。オケとのかけ合いもまるでおしゃべりをしているかのような交歓が感じられました。第2楽章はしっとりとした落ち着いた音色で静謐とした音楽を奏でていましたが、第3楽章のロンドは再び軽やかに飛び跳ねるような演奏。美しく愉しいベートーヴェンが聴けました。アンコールのショパンはまるでシューベルトのような深く叙情的なアプローチ。懐の深さを感じさせるピアニストです。

後半の《英雄の生涯》は9年前に聴いたときにも涙が出るくらい感動しましたが、今日の演奏でもやはり涙腺が緩んでしまいました…。
「英雄」冒頭のホルンと低弦の主題から迫力満点。強奏部でも音は全く濁らず、まさに英雄的な威風堂々とした歩みを進めていきます。「英雄の敵」では不穏な曲調の中に木管の絶妙なアンサンブルが聴けました。場面場面に応じてオケ全体の雰囲気がしっかり変わっていきます。
「英雄の伴侶」ではコンマスのリヴィウ・プルナルの柔らかくも芯の強い正確無比なソロが冴え渡り、「英雄の戦場」では文字通り血で血を洗うような激しい音楽の応酬。管楽器の咆哮は心が震えるほどでした。
「英雄の業績」ではR.シュトラウスの様々な交響詩が引用されますが、甘美な旋律が次々と奏でられ心が惹きこまれます。9年前もここで涙ぐんだのですが、今日もここで涙ぐんでしまいました…。ホルントップは「英雄の引退と完成」で疲労の色が見えてかなり辛そうでしたが、最後まで破綻することなく吹き切ったのにはコンセルトヘボウの団員としてのプライドを感じましたね。英雄の最期を見送るような終結部の壮大なコラールは、完璧に計算されつくしたバランスで消え入るまでコントロールされ続け、永遠的な美しさでした。終わってからの静寂が十分に保たれたのも良かったです。

やや暗めの音色で艶やかな弦、玲瓏とした透き通るような木管、全てを貫くような輝かしい金管、力強く正確無比な打楽器、これらがヤンソンスの棒の元に集い融合し、見事なハーモニーとなっていました。アンコールの「ソルヴェイグの歌」も絶品。明日のチャイ5も楽しみです。
冬が近づいて紅葉も見頃を迎えてきましたね。

今日はお昼から上野の東京都美術館へ。ターナー展を観てきました。
この画家が描く空や水面の透明感、光と影のコントラストは観ていて吸い込まれそうになります。素晴らしい絵ばかりでしたが、中でも《月光、ミルバンクより眺めた習作》、《バターミア湖、クロマックウォーターの一部、カンバーランド、にわか雨》、《ヴァティカンから望むローマ、ラ・フォルリーナを伴って回廊装飾のための絵を準備するラファエロ》、《レグルス》、《平和-水葬》が印象深かったです。


その後川崎へ移動して演奏会へ。


☆クリスティアン・ティーレマン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団@ミューザ川崎シンフォニーホール
・ベートーヴェン:交響曲第8番 ヘ長調 op.93
・ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125 《合唱付》
Soprano.エリン・ウォール
Mezzo-Soprano.藤村美穂子
Tenor.ミヒャエル・ケーニヒ
Bass.ロベルト・ホル
合唱…ウィーン楽友協会合唱団


ウィーン・フィルを聴くのは4年前のメータ(《ドン・キホーテ》、《英雄の生涯》)以来2回目。今回の来日は、ウィーン・フィルと良好な関係が続いているティーレマンとのベートーヴェン・ツィクルスです。

前半は第8番。生で聴くのは初めてでしたが、やはりウィーン・フィルの弦楽器は美しい…!柔らかさとしなやかさを兼ね備えていて、まるで太陽の下にいるかのような明るい音色。ティーレマンはところどころデフォルメして独特の解釈を示していましたが、ここではウィーン・フィルの持つ美しい音色に強く耳を奪われました。このコンビのCDでも感じましたが、ティーレマンはベートーヴェンなら奇数番号の方が相性良さそうです。

第9番はソリストを合唱の真ん中に置く配置。木管は倍管でホルンはアシ付きでしたが、クラリネットは2nd assiにペーター・シュミードルを使うという贅沢な布陣(1stはエルンスト・オッテンザマー)。こちらは流石と唸らせられる名演でした。
第1楽章冒頭のホルンの空5度からただならぬ緊張感。劇的な弦のうねりやまろやかな木管の響き、的確かつ上品な金管の音色が空間を支配します。第2楽章のスケルツォもドラマティックで、中間部の木管ホルンの美しさは絶品。第3楽章でも木管ホルンは繊細に音楽を紡ぎ、天国的な美しさを表現していました。第4楽章はオケと合唱、ソリストが完璧に融合し、まさに稀有な演奏。ソリストではエリン・ウォールの声が特に伸びがあり、一際際立っていました。合唱も世界トップクラスを証明する重厚で圧巻の歌唱を披露してくれました。ティーレマンの一般参賀はなんと3回!

ただ、去年のドレスデン・シュターツカペレとの演奏会でも感じましたが、ティーレマンは音量に対してかなり神経質に細かく指示を出します。要求より少しでも大きな音を出そうものなら左手で払いのけるような仕草で即座に音量を抑制します。なので、ところどころ急に音量が変わり人工的に感じてしまう部分もありました。個人的にはこの指揮者はブルックナー、ワーグナーの方がやはり相性が良い気がします。

コンマスは両曲ともライナー・キュッヒル、弦楽器は対抗配置でコントラバス、トロンボーンは下手に配置。2ndVnのトップサイドの若いお兄さんがノリノリで楽しそうに弾いていたのがとても印象的でした。