事例:出勤時、電車に飛び込みたい‼-No2
うつからの回復/30代男性
『出勤前、駅で電車に乗ろうとすると、電車に飛び込みたい‼と言う衝動にかられるんです・・・・・』
との衝撃発言から始まった30代男性との初回カウンセリングから回復までの軌跡をお伝えします。
主訴
元上司の転職先にヘッドハンティングを受け転職。給料も上がり、職場の環境も人間関係も良好。新しいSEの部署を1人で一から立ち上げ作り上げていかなくてはいけない。
すでに任された仕事にがわからない、上司は相談に乗ってくれるが解決にはならない状態から、気持ちが追い詰められていく・・・・・
会社に近づくと身体が重い・やる気が起きない・電車に乗ろうと駅に着くと、飛び込みたくなる。病院へは行っていない。奥さんは妊娠5ヶ月とのこと。
前回(初回)の概要
最近自身の大きな問題があったのですが、冷静に過ごしていたつもりでしたが、振り返ってみると、やはり冷静ではありませんね。
こちらのお話の連載は久しぶりになりますが、皆さま覚えていてくださっておりますでしょうか。
上記のようなことは、カウンセリング現場では時折起こりますが、来室いただくみなさんが自殺を考えているわけではありません。
どのような問題も、様々な環境・状態・精神疾患・心身症など、いろいろな状況が複合的に絡まり合っています。
この結果、徐々に選択肢をなくし、逃げ場をなくしていくことで、最終的にうつに追い込まれていき、最悪な選択が死を選ぶしか道はない・・・と思うことにあります。
冷静な判断ができる状態であればこのようなことは起こりません・・・・・
「カウンセリングを受けて状況が見えてきました。でもまだ今は休めないので、もう少し頑張ります・・・・・
できれば会社を休まずに、カウンセリグで乗り越えていきたいと思います。
でも先生のおっしゃる通り、これから父親になること、家族の心配のことを考えると、命が最優先だと本当に思いましたので、まずは病院に行き、上司と休職の話を進める段取りもとっておきたいと思います。」と初回は終わりました。
2回目のセッションまでに事件勃発!
2回目のセッションのご予約は、翌土曜日の予定でしたが、その前日に事件は起こりました。
朝9時30分頃でしたでしょうか、最初にご予約いただいたお父さんからハルモニアに電話が来ました。
緊迫した声で、
「先生、今息子から電話があって、『朝、ホームで走ってくる電車を前に一歩踏み出そう!っと思った瞬間があって、これはやばい!』と自身が衝撃を受けたようです。
『嫁の顔が浮かんできたよ、留まれてよかった。』と連絡があったんです。
本人は落ち着いてから上司に連絡したようで、上司の方も慌ててくださって、息子の最寄り駅まで来てくださることになり、こちらも妻と一緒に向かおうと思います。
先生こんな時は、どうしたらいいでしょうか?」との一報がありました。
「まずは兎にも角にもよかったですね。みなさん安心されましたね」
「ここまで進めば、やるべきことを明確にして進むだけですから大丈夫ですよ。」
と、ひどく慌てていらっしゃるお父様に、ゆっくりとした声で話しかけ、まずは落ち着いていただきます。
「病院の方へはもういかれたのですか?」と確認を入れると。
「加藤先生のお話から、火曜日の会社帰りに病院へ行き、診断書をもらってきたようです。会社の方でも休職の制度があるようなので、診断書を上司に渡すと思います。これからその話し合いになるとかと思います」とのこと。
「それでしたら大丈夫ですね。落ち着かれましたら連絡ください」と電話を切りました。
それから2時ごろだったでしょうか、ほかのセッションの合間にお父様から連絡をいただきました。
「先生、先ほどはバタバタしていて申し訳ありませんでした。ご対応ありがとうございました。あれから上司の方との話し合いが進み、休職の手続きをしていただくとのことです。まずは3か月の休職となりました」
「加藤先生!どうか息子のことよろしくお願いします」とのご報告でした。
このように人は冷静になれば、進むべき道にきちんとたどり着きます。
どうすればいいのかわかっていれば、問題は最悪には進んでいきません。
今お悩みのあなたへ
今一度、他の選択肢があることに気づいてください。
今一歩、確かめに来てください。
まずは一呼吸をしましょう、一休みしましょう、問題を整理しましょう。
どんな道のりも、命あってのことです。
土俵際までいかないうちに、苦しみがわかるうちに、時間があるうちに、身体がまだ動くうちに、どうかお気軽にご相談ください。
次回からは、セッションの内容について、踏み込んでご説明していきたいと思います