上京物語-0.5 | 人間万事塞翁が馬 丙午ですが何か?

人間万事塞翁が馬 丙午ですが何か?

丙午生まれです。まもなく丙午の年が来ます。山形生まれ、バブル期を東京で過ごし、家を継ぐために山形で暮らしています。昭和、平成、令和と時代をめぐって稀な世代『丙午』とは何なのか自問自答の人生です。

その店で自分は洋菓子と言うジャンルの奥深さを知ることとなります。古今東西の食に”お菓子”はある訳で、洋菓子に特化した専門店に入った時点でまずケーキ屋さんとして認知されます。その店には先輩が2人、年が3~4コ上の男性と2コ上の女性がいました。お二人とも製菓学校とか調理師学校を出ていらして、自分にとって良きお手本となる先輩でした。

たぶん専門学校では実技に加えて、歴史や理論なども学ぶのでしょう。お二人とも製菓や料理の専門用語が普通に飛び交います。洋菓子のルーツはフランス料理のデザートから発祥・独立したのが通説ですのでフランス語がメインです。前の店は日本語メインでしたので初め戸惑いました。仕込み、仕上げ、製法も基本からみっちりトラディショナルなフランス菓子の製法をやる先輩方でしたので、見習いとしての基本通り、教えて頂いては実行の繰り返しです。わからない言葉や理論的な事は業界誌や原材料のパンフレットがたくさん工場にありましたので助かりました。

今も毎月目を通す業界誌に”PCG”があります。PはパティスリーCはコンフィズリーGがグラスつまり、ケーキ(パイや焼き菓子含む)、チョコレートやアメ、ジャムとか、そして氷菓の頭文字です。洋菓子と言うジャンルはフランス料理のそれと決して引けを取らない幅の広さと奥行きがあるのです。

たまにいらっしゃるのですが、コックさんからケーキ屋さんになった。と言う方がおられます。料理の世界にいるうちにデザート、つまり洋菓子の世界の奥深さに魅了されてしまった、と言うのも頷ける話なのです。

歴代の数々のパテシェを輩出してきたであろうその店は、我々見習いも生活面では自立を則されていて、自分で借りたアパートで生活し、昼の工場での弁当以外は自炊です。自分の場合は事情を飲んで下さった店側がアパートや通勤用の自転車の手配まで段取りして下さっていて、契約をするだけで即入居できましたし、新たな生活が始まったのでした。時間的拘束も朝は早いのですが仕事が終われば帰れました。ただ、新しい仕事を任されてしばらくはその段取りや、仕上げの練習は残って納得いくまでやったりしました。そうした事の積み重ねで少しずつスキルアップをしていったのだと思います。