シンガー必見!映画「リスペクト」を10倍楽しむ〜アレサフランクリンとジェニファーハドソンと | ニューヨークとハーレムと音楽のはなし

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ハーレムに現れた 映画「リスペクト」の壁画


2021年8月13日全米公開の映画「リスペクト」。


公開前に

音楽関係者のプレミアム試写会で、

そして公開後、改めてもう一度観た思いを記します。

(日本公開は2021年11/5予定)。




(写真は8/8 LAでのプレミアム・レッドカーペットにドルチェ&ガッバーナの紫のドレスで登場したジェニファー)



映画「リスペクト」は、

Queen of Soul ソウルの女王 アレサ・フランクリンのストーリー。




概要は、

アレサの誕生日3月に記したこちらを先ずご覧ください↓



映画「RESPECT」ジェニファー・ハドソン、アレサ・フランクリンに認められて。アレサ3作品



↑ご覧いただいた通り

米国では、この3年で、3本のアレサ映画が公開。



そしてナント日本では、

それが今年5月から半年間で、立て続けに3本一挙公開されることになります。




記念の年という訳でもないのに

異なるプロダクションから

3本も同じアーティストの作品が発表されるのも珍しい。


というか、

余程のファンでない限り、3本全部は見ないかもしれない。




その一番最後、3本目を飾るのが

今回の、ハリウッド映画「リスペクト」。


唯一、アレサ・フランクリン本人に望まれて公開される作品です。





「本人に望まれて」というのは、どういうことか?


最初の作品は、

●1972年、教会でライブ収録されたものの

テクニカルプロブレムで作品にできず、

2015年にやっと完成するも、

アレサ本人から「待った」がかかりお蔵入り。


2018年アレサ他界後に、

親族の了解を得て、全米で2019年4月に映画館や教会内で公開となった

ドキュメンタリー映画「アメージンググレース



ふたつ目は、アレサの生涯を詳しくまとめて

●2021年3月、アレサ79才の誕生日に合わせ、

ナショナル・ジオグラフィック・チャンネルで

4夜連続(8話)全米で放送された

テレビドラマ「ジーニアス・アレサ」


でも、

公開前から息子や孫や親族が

「一族の了承無しに故人の生涯を作品にするなんて。私たちは「ジーニアス」を観ません。もし貴方がアレサのファンでしたらどうぞこの作品をサポートしないでください」

という異例の公言をして話題を集めた、いわば望まれなかった作品↓


アレサの親族が「ジーニアス」をボイコット





そして、

最後に満を侍して命日の8月に公開されたこの「リスペクト」は、


生前から自分のストーリーを映画にしたいと主役を探していたDivaアレサ本人が、


映画「ドリームガールズ」を観て、


“私を演じるのは貴女しかいない”

とジェニファー・ハドソンにオファーした作品。



そして実は

21才、アマチュア時代のジェニファーが

アメリカン・アイドルの最初のオーディションで歌ったのが、アレサの歌↓




さらに縁を辿れば、


2004年アメリカン・アイドルの終盤で勝ち残れなかったジェニファーに、


アレサが、

インディアナ州でのコンサートのオープニングアクトを依頼したのが初対面だったとか。



いわば相思相愛、


お互いに、

大切な家族を殺されるという辛い過去があり、

どこか共有する赤い糸もあったのかもしれない。




映画公開前に、

アメリカでプロモーション続きだったジェニファーは、


・アレサが亡くなる1週間前まで、お互い話をしていたほど懇意だったことや、



・アレサの実家で親族と撮った写真なども公開し、



本当に望まれて、この映画でアレサ・フランクリンを演じきれたことをアピールする場面が沢山ありました。




アメリカの人気トーク番組「レイトショー」にも出演し、


(リスペクトのネームネックレスに作品愛を感じる)



この映画の為に、初めてピアノを練習したことを告白。


「この長い綺麗なネイルで弾くのよ」

と言いながら、

アレサのヒット曲「ナチュラルウーマン」(オリジナルはキャロルキング)を披露。





「アレサになって歌う時はこんな感じ、

私自身ジェニファーとして歌うとこんな感じ」

と、

歌い方の違いを見せてくれたのは貴重でした。(3分30秒あたりから)↓





さて、

映画の中身については、


親族に望まれなかった「ジーニアス・アレサ」を8話まで既に観た人は、



それをあっさりと

2時間25分にまとめたイメージです。




ストーリーは時系列に沿って、

大きな盛り上がりも無く

ある時点をドラマチックに膨らます事もなく

割と単調にエンディングを迎えます。



家族との別れ、性的虐待、死、出産、アルコール依存、、、など具体的には描かれてないことが多く、

全体的に観る人の想像力に託され

割と淡々とつくられているのは、


本人や親族とも作品について話す事があってのことかもしれません。

アレサの生涯そのものが既にドラマチックだったから。




【見どころ】


1) 子役はブロードウェイミュージカル「Tina!」でティナ・ターナーの子供時代を演じるスカイ・ダコタ・ターナー


有名な人気牧師だった父が催す土曜のホームパーティーや、教会で歌っていた少女時代。

10才のスキャットに驚きます。


(アレサが10才の頃は、こんな風に既に歌が抜きん出ていたのだろうな、と想像させる名子役)



2)ジェニファー・ハドソンの歌が沢山聞ける


17才の時、父と懇意だったキング牧師のゲストプリーチの前に歌う「There is a fountain filled with blood」ほか、映画としては単調な展開の中、ジェニファーの歌がKeyとなって2時間半しっかり魅了される




3)憧れだったダイナ・ワシントン(メアリーJ・ブライジ)との息を飲むシーン


本当は、メアリーJ・ブライジの歌が聴きたかった。さらにジェニファーとMJBがかけあって歌うシーンを期待したけど。。。。




4)ニューヨークのシーンが沢山出てくる

1963年のヴィレッジ・ヴァンガードはじめ、マジソンスクエア・ガーデン、ラジオシティ・ホールほか、NYが出てきてワクワクする



5) 9枚アルバムを出してもヒット曲が無かったアレサの代表曲となった「リスペクト」が夜中3時に誕生するシーン

耳コピーの教会育ちで、楽譜が苦手だったアレサは、口で音を伝えていたという秘話を踏まえた上で、自分の愛称「Ree Ree Ree ..」と、コーラスを姉達と即興で作っていくワクワクする場面



6) 映画「サマーオブソウル」とのシンクロ

サマーオブソウル

を観た人は、アレサがアンジェラ・デイビス(ブラックパンサー党)について語る場面、公民権運動、いきなりのアフロヘアー、など、時代背景の理解が深まり、より面白い。

特に、1969年、本来はハーレムでマヘリア・ジャクソンとPrecious Lordを歌うはずがドタキャンした頃には、こんな生活をしていたんだと、シンクロさせて想像が膨らむ。



7) 例に漏れず、人気が出てきたらLAの一戸建てに住む。家がどんどん大きくなって、気がつくとメイドも居ることなどサクセスストーリーを見る

大きな家で子供とYoung, Gifted & Black を歌うところも見逃せない



8) そして、最後はゴスペルに帰る

映画「アメージンググレース」を見た人は、ラストシーンが繋がって、感動が増すことと思います。




映画が終わって、エンドロールまで是非観てください。
最後はアレサ・フランクリンへの最高の追悼になっています。

そして、

プロデューサーとして自分の名前をクレジットしたい、ともがいていた若い頃のアレサ。
映画のプロデューサー名にジェニファーの名前がクレジットされていたのを発見したのは小さな喜びでした。



飛行機嫌いで知られたアレサ・フランクリン、
立て続け3本の映画を通して、
今、世界ツアーをしているのかもしれません。





 <関連過去ログ>


映画「RESPECT」ジェニファー・ハドソン、アレサ・フランクリンに認められて。アレサ3作品(2021年3月)



 

 ※アレサ・フランクリンの死 アポロシアターで追悼(2018年8月16日の記録)


 


日本に居ながらにしてアノ感動が味わえる―。(2010年4月)






 

●NYハーレム案内人 松尾公子 Kimiko Matsuo

NYハーレムの黒人コミュニティにどっぷり浸かって19年の音楽プロモーター、ディレクター、NYコーディネイター、日本人ながらハーレム黒人教会ゴスペルクワイヤーのリーダーに任命されている。

Harlem Japanese Gospel Choir主宰(2010年マクドナルドゴスペルフェスト史上日本人初出場で初優勝)、2014年アメリカの黒人コミュニティより、日本人女性初「ウーマン・オブ・エクセレンス&マン・オブ・ビジョン」受賞、米国最大のエンタメ・スーパーボウルの日本人初ゴスペル部門役員、2019年世界初公式ライセンスにてアポロアマチュアナイト日本大会開催など、日本人初を次々切り開くパイオニア。



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