棗の気持ち | 慣れないハリネズミ棗の終活

慣れないハリネズミ棗の終活

生き物をまともに飼ったことがない超・ど素人がハリネズミとマルチーズに切磋琢磨。金魚・ハリネズミは虹の橋へ。男女双子の妊娠・出産・育児記録。ハリネズミの緩和ケア記録。インスタ→tippy_white(マルチーズのティッピー)

ハリネズミと人間は心を通わすことができるでしょうか?
貴方は飼っているハリネズミが自分と心が通じていると思ったことはありますか?

私は今まで『金魚もハリネズミも人の言っていること・心が伝わる』と何度も言ってきました。

これは

小さなハリネズミ棗の気持ちの話です。

ハリネズミハリネズミハリネズミ

先日、私は『悩んでいることがあり、棗に相談した』『棗が嫌なら顔をあげて、良いなら毬栗のままで良いと言ったら顔をあげて驚いた』『一回だけで後はずっと毬栗で分からなかったから皆さんにアドバイスをして貰いたい』と書きました。

実は、その話の続きなんです。

渚を喪ってから少しずつ元気を取り戻してきたかのように思います。
だけど、渚を喪ってから私は心の穴を埋めることができず、苦しんでいます。
その傾向が強く現れ始めたのは渚を亡くしてから、初めて、主人が仕事で家を空け、私と棗だけで家に残った日から始まりました。

寂しくて。
寂しくて。
寂しくて。

寂しくなって玄関に行っても渚はいません。空っぽの金魚鉢には祖母が渚の代わりにとくれた硝子の金魚が入っているだけ。お墓に行って話しかけても…渚は冷たい土の中で眠っていて応えてはくれません。

私は『渚』という存在の心の穴を埋める『代償』を探し、主人に依存するようになりました。その依存は主人を困らせ、私自身も自己嫌悪で追い詰められていきました。

父に金魚を飼うことを勧められましたが、言葉の途中で泣きながら拒否しました。

渚は渚しかいない。
他の金魚を飼っても渚ではない。
渚以外の金魚を飼うなんて許せない。

そんな時、先週、田舎の祖父母のお墓参りに行った時に初めて従姉の柴犬に会いました。

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今度、改めて紹介しますが『ちょび』です。

以前、チョロリと書きましたが私達夫婦は柴犬好きなんです。ただ、主人は生まれてこのかた犬を飼ったことは無かったし、私も生まれたのは犬小屋(イエス様の馬小屋的な)レベルで常に犬のいる家でしたが実は犬ヲタクの祖父母は珍しい犬種が好きなので柴犬は飼ったことが一度も無かったんです。

だから、たった二日間の短い時間だったけれど、この柴犬ちょびは本当に可愛くて、私達はとてもとても癒されて、やっぱり柴犬好き!に拍車がかかりました。

ただ。

主人は『棗がいるから飼ってみたいけれど飼わない』と思っていて、私は単細胞なので『柴犬飼いたい』になってしまったのです。

田舎から帰ってきてからも柴犬を飼うことばかり考えて想像しては寂しさを紛らわせていました。飼育書を買って、読んで、夢を膨らませて。

そこに、棗が、いたのに。

私の心の穴を埋める為の『柴犬飼いたい』はエスカレートし、ついには主人とペットショップに毎晩出向いて、新しい家族を探す日が続きました。主人は乗り気ではありませんでした。ひたすら『棗がどんな気持ちになるかな』と言っていました。

その頃から…棗が元気がないように見え始めました。

渚が亡くなってから棗は今までより私に構われても嫌がらなくなり、撮影もし易くなり、朝も夜もへやんぽをハイテンションでして、ご飯も完食するようになりました。

単に、我が家に来て3ヶ月経ち、少しずつ、棗もこの家や私達に慣れてきただけだと思っていました。

でも、柴犬にうつつを抜かし始めた頃、『柴犬を飼ってもいいか』と聞いた時に、『嫌だったら顔を上げて、飼っても良かったら毬栗で良いよ』に顔をあげたんです。

でも…たまたま?って分からなかったんです。だって、棗は、ずっと機嫌も悪くて、あんなにしてくれていた朝んぽもしなくなり、夜もマイカーを回さなくなり、オヤツも私達の手から食べてくれ始めたのに、食べなくなってしまい…元気がないのは具合が悪いのか疲れているのかなって心配していました。構われたくないのかな?って。構うと毬栗MAXになるのですが不思議と砂場やマイカーの上など私達が手の届きやすい場所にいることが多くなりました。

まるで、待っているようにも見えました。

そんな筈ないよなぁ…なんて思いつつ、ついに、飼うなら、この子にしようという白柴の女の子を決めました。

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名前まで決めました。『こまち』です。

あとは飼うかどうかを決断するのみでした。

私は『飼いたい』でした。『飼う』ではなく『飼いたい』です。何故なら、そこに主人が同じ気持ちでなければ意味がないからです。主人は悩んで決断できずにいました。飼う子犬も決めて、一緒に名前も決めて…でも踏み切れない状態でした。

そして。

昨夜、棗にオヤツをあげに行った時に、ふと、棗が、拗ねているように見えたのです。棗に限って拗ねることはないと思っていましたし、私達が構わない数日間、元気はないけれど、構われなくてラッキー!って優雅に過ごしていると思っていたので、久々に棗と触れ合う時間を作りました。

病院に行った時のような毬栗MAXでした。ど、どうしたの!?って驚く程です。主人も棗の部屋に来ました。

そこで…ふ、と『棗、アンタ…もしかして、柴犬反対なの?』と口に出たんです。

毬栗が動きを止めました。

またフシュフシュが始まったので、『棗、《僕だけでいいでしょ》って言いたいの?』と聞くとピタと止まりました。

これは、本気で向き合わなければならないと感じ、毬栗MAX棗を手の平に乗せ、

『棗、柴犬反対なら、ちゃんと顔をあげなさい』

と、ピシャリと言ったら

…あげたんです、顔。

本当に、あげたんです。

主人が『…かお、あげた…』って本気で驚いていて。

また毬栗に戻ったので、

『棗。棗が嫌なら飼わない。棗が一番大事だから。だから、《僕だけで良い》って思うなら、もう一度、顔をあげなさい』

って言ったら、

また、ーーー顔をあげました。

心の穴が埋まった瞬間でした。

『…わかった。飼わない。棗だけ。』

と言うと、棗は甘えるように急に毬栗をといて、久々に可愛い顔で私を見上げたんです。

『棗…ここ最近、ずっと頑張ってたんだよ。渚がいなくなって、棗は苦手な写真だって頑張ってた。朝も夜もへやんぽ頑張ってた。ご飯も残さず食べてた。お風呂だって頑張って入るようになった。うさ子と昼間、添い寝もしてくれるようになった。棗は、ずっと、頑張ってた。』

そう、主人に言われた瞬間に涙がボロボロ出て止まりませんでした。

棗を精一杯抱きしめて、『ごめん、ごめんね。棗がここにいたのに。棗は頑張っていたのに。ごめん、ごめんね…棗が一番大切だよ、棗が一番大好きだよ。馬鹿なお母さんでごめんね。傷つけてごめんね。』と泣きながら伝えると、棗は毬栗にならないで、静かに聞いていました。

翌朝。

うさ子『…昨日の、棗。偶然だったのかな…』
カメ吉『…さあ、どうかな?』
うさ子『昨日まで朝んぽしてくれなかったんだけれど、今日、朝んぽしてくれたら、本当なのかもしれないね(苦笑)』

さて。

今朝の棗です。



  



ハリネズミと人間は心を通わすことができると思いますか?
貴方は飼っているハリネズミが自分と心が通じていると感じたことはありますか?

私は

ハリネズミと人間は心を通わせることができると確信しました。

ハリネズミは不器用な生き物です。

でも

ハリネズミは家族想いな生き物です。
ハリネズミは心の優しい生き物です。

私は…もう寂しくありません。

だって、

そこに棗がいてくれるから。

『最期にはハリネズミを飼って良かったと思いたい』

と書いたことがあります。


ーーー うん。

わたし、棗が家族で良かった。



ハリネズミハリネズミハリネズミ

いつの日にか…柴犬を飼う日が来るかもしれません。
でも、それは…十年先の話になることを願っています。
ハリネズミの寿命は長くて十年。

棗が我が家に来てから、すぐに風邪をひき、命が危うくなったことがあります。お迎えしたばかりだというのに、いきなり通院が始まりました。ちょうど病院への道すがら梅の花が満開に咲いていた時期でした。その梅の下を歩きながら私は棗に言ったんです。

『棗…頑張って乗り越えようね。棗と渚は十年は生きなきゃいけないんだから。私とカメ吉が40歳で…その頃、私達に子どもがいたら小学生の四年生くらいかな?それまで…ずぅーっと、渚と棗と皆で一緒に歳を重ねて、ずぅーっと、一緒にいなきゃいけないんだよ。約束だからね。約束だよ。』

棗は…あの約束を覚えていたのでしょうか?

そして、

渚の穴を渚と自分以外で埋めるな、と教えてくれたのでしょうか?

一緒にいよう、ずっと、一緒に。
渚の分も。
私と、主人と、棗。

それが、『山田家』です。







ある小さなハリネズミと家族の絆の物語。

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