クラスに参加されているIさんのシステマストーリーを共有します。

Iさんがどのようにしてシステマに出会い、システマによって変わっていったかの変遷が書かれたもので、参考になると思います。


【システマとの出会いとPTSDからの復帰】


私は今の会社で働き始めて二十有余年になる。自分の希望もあり、国内外のセキュリティを担当する部署に配置され、その立ち上げから実際にセキュリティ業務を行うまで10年近くその勤務を行った。


(仕事の特性上)日々生死を意識して生活をしてきたが、実際にセキュリティに従事する機会などももらい、立ち上げからその部署が軌道に乗るまで携わった日々は確実に充実して、誇りに満ちたものだった。


数年して現場から離れ、事務職に配置された。それまで命がけでやってきたことと全く違う仕事をやるようになり、どのようにして日常を過ごせばいいか途方に暮れた。


生の実感がなく、目的を見出せない日々で、やがて私は眠れなくなり、自分は何故ここに存在してるのか自問自答するようになった。


当然、仕事の効率も悪化して、ネガティブな評価を受ける日々が続いた。


食事も取れず、鉛のような身体を引きずって、眠ることもできず、無能感に打ちのめされた。


そのうち、自分の存在価値を疑うようになり、自死が頭をよぎる様になった。精神科を受診し、うつ病と診断された。


職場では、その時求められる能力を発揮出来ないことが明白になった。なんとか薬で凌ぎつつ、ただ出勤する日々が続いた。


しばらくすると、療養のため故郷への転勤を命じられた。新しい職場が体調を改善するための環境を整えてくれた。


最初は休暇をとり、自宅でしばらく服薬とカウンセリングが主体の治療を受けた。劇的な回復とは言えないが、自責感や希死念慮は改善され、徐々に食事も取れるようになった。復職訓練を経て、少しずつ仕事に復帰するようになった。薬物療法やカウンセリングであまり改善が見られない中で、私の担当の精神科医と臨床心理士は、私のこれまでの経緯などから、遅発性複雑型PTSDと診断した。現場で長く緊張状態の中で勤務したことにより、脳の中身が緊張状態であるように書き換えられてしまい、緊張状態が緩和されないことでの症状として鬱に近似した症状が出るとのことであった。


やや回復し、専門的な療養とキャリア発展のため、心理学とメンタルヘルスを学ぶ機会を与えられた。私は快諾して心理学やメンタルヘルスを学び始めた。


そんな時システマに出会った。セキュリティに従事していた際、戦闘術としてのシステマは学んだことがあったが、リラックスするというシステマのコンセプトに改めて惹かれた。


当時も疲労感と不安感が強く、安定しているとは言えない状態であったため、自分のためにも良いと思い取り組んだ。


呼吸にフォーカスする、自分に気づいて行くシステマのプロセスは、症状がある時や、ストレスを強く感じる時にはその効果を実感するものだった。呼吸をすることで、ストレスを感じた時の心身の変化に気づけるようになり、さまざまな症状の予兆がわかるようになった。


そして呼吸や動きにフォーカスすることで症状が発生することを回避したり、なったとしても回復できることを身体が理解していった。


やがて心身のレジリエンスが高まり、日常において症状も現れることがなくなり、一年もせずに服薬を止めて寛解の診断を受けた。それらの経験と学びから、同じような苦しみを抱える同僚を少しでも復帰させるべく、私は組織内の心理職についた。


システマの学びはメンタルヘルスに役立つという確信もあり、システマの練習も継続した。私には、ケアだけではなく、ストレスと戦い、そのダメージからリカバリーする力をそれぞれが持つべきだという考えがある。


自身の治療の過程で、システマのようなボディワークは効果があることを心底実感したからだ。ソマティックアプローチと呼ばれる、身体的アプローチによるメンタルヘルスの改善は、研究が進みエビデンスが積み重ねられ、近年急速に発展している。


惨事など強いストレスやトラウマを受ける仕事は、軍事的環境という高ストレスの状況で発達したシステマがフィットすると考えている。


心身を健康にし、戦士に戦う力を蘇らせる。そして、目に見えないストレスという敵とも戦うパワーを与える。システマはまさにサバイブに直結するものだと感じている。




システマアカデミーの平日クラスは東京(高円寺、中目黒、下北沢)を中心に北陸や愛知でも定期的にクラスを行っています。


すべてのクラスで初心者、ビジター参加や体験参加も歓迎しています。参加にあたり事前連絡は必要ありません。

プライベートレッスン、少人数グループ指導や県外での出張クラスやワークショップのお問い合わせはinfo@systema-academy.comまで